研究課題/領域番号 |
19K00262
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研究機関 | 花園大学 |
研究代表者 |
秦 美香子 花園大学, 文学部, 教授 (90585358)
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研究分担者 |
西原 麻里 跡見学園女子大学, 文学部, 准教授 (20623573)
増田 のぞみ 甲南女子大学, 文学部, 教授 (80449553)
山中 千恵 京都産業大学, 現代社会学部, 教授 (90397779)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | アダプテーション / マンガの舞台化 / 翻案過程に注目した作品研究 / 音楽の「日本性」 / ミュージカル研究 |
研究実績の概要 |
最終年度は本研究課題の総括を行い、本研究の成果と残された研究課題を整理した。 まず、本研究を通して、マンガの舞台化が盛んにおこなわれた時期を次の三つに区分できるのではないかという仮説が得られた。[1]1920年代~(萌芽期)、[2]1970年代~(展開期)、[3]2000年代~(発展期)である。このうち、とくに具体的な作品研究が可能であった発展期については、マンガから舞台への翻案過程について、社会学、マンガ研究、音楽学、文化興行学のアプローチから具体的な分析をおこなった結果の整理をおこなった。その成果のうちとくに重要なものは、最終報告書としてまとめ、国会図書館に納本するとともに、各所属大学の機関リポジトリなどを活用して公開する(なお電子版は2024年6月に納本予定)。報告書は、「現代日本を舞台とするミュージカル作品における音楽の「日本性」に関する考察: フランク・ワイルドホーン《デスノート》(2015)を参考に」「翻案による作品テーマの創出」「韓国におけるミュージカルの現況とマンガ原作ミュージカル『Death Note』」といった、同一作品を音楽学、マンガ研究、文化社会学の視点から多角的に分析した論考と、「マンガが演劇に翻案される際のメディア表現の分析」他の論考によって構成されている。 また、このように成果を整理して報告書にまとめる作業のなかで、(1)萌芽期や展開期のマンガの舞台化については、どのような作品が誰の手によって制作され上演されたかといった基礎データが整理されていない、(2)各時期がどのように接合されているかをめぐる議論の蓄積が不足している、という問題点が改めて浮上した。また、(3)舞台表現を描いたマンガ作品の歴史がほぼまとめられていないという基礎的な問題が残されているままであることについても、今後検討すべきであることを確認できた。
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