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2020 年度 実施状況報告書

演劇と市民社会:佐藤信による劇場創造とアジア演劇との交流事業に関する調査

研究課題

研究課題/領域番号 19K00264
研究機関近畿大学

研究代表者

梅山 いつき  近畿大学, 文芸学部, 准教授 (50505401)

研究期間 (年度) 2019-04-01 – 2022-03-31
キーワード現代演劇 / 野外演劇 / 小劇場演劇 / アジア演劇 / 舞台芸術 / 社会運動
研究実績の概要

2020年度は当初、佐藤信と黒テントの中国やフィリピンにおける活動を現地調査しようと計画していたが、新型コロナウィルスの感染拡大に伴い、海外出張ができず、計画を国内調査に変更した。国内調査についても上半期は関係機関の訪問が難しかったため、感染状況が落ち着いた10月以降に行うこととなった。
10月から2021年3月にかけて、佐藤が運営に携わっている2つの劇場、座・高円寺(東京)と若葉町ウォーフ(横浜)を訪問し、佐藤の演出作品『男たちの中で』『ジョルジュ』『ペール・ギュント』等を視察し、両劇場の運営と合わせて調査することができた。また、数年前より佐藤が所蔵していた演劇関係資料の整理がほぼ完了したため、早稲田大学坪内博士記念演劇博物館に寄贈した。本年はその引き渡しに関わる作業を演劇博物館で行った。
演劇博物館では佐藤と同時期に演劇活動を開始し、影響関係にあった劇作家・別役実に関する資料調査も行った(早稲田大学演劇博物館演劇映像学連携研究拠点・テーマ研究「別役実草稿研究」、研究代表者:梅山いつき、文部科学省)。研究成果の一部を演劇博物館で2021年5月に開催予定の特別展示で公開する予定である。佐藤と別役については、両者が手がけたテレビやラジオの放送作品についても調査しており、今後、研究成果を論文等で発表する予定である。
なお、2020年3月に、それまでの資料調査等の研究成果をまとめた単著『佐藤信と「運動」の演劇 黒テントとともに歩んだ50年』(作品社)を刊行した。本書は本研究が研究対象にしている佐藤信の活動について、中心的な役割を担ってきた劇団黒テントにおける活動を主に取り上げて論じたものである。その内容が評価され、第26回AICT演劇評論賞を受賞するはこびとなった。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

研究実績でも記したように、当初予定していた海外調査が行えなかったため、「やや遅れている」とした。本年調査しようとしていたのは佐藤が行ってきた90年代以降のアジア演劇との交流事業である。佐藤に大きな影響を与えた、シンガポールの劇作家クオ・パオクンとの影響関係や、ダンサーの竹屋啓子と行ってきたアジアのダンサーたちの交流事業、ACAWについて調査する予定だったが、本年は十分な調査ができなかった。2021年度も海外に実際に出向くのは難しい状況が続くと予想される。よって、現在、佐藤が運営しているアートスペース・若葉町ウォーフで計画しているアジアの若手アーティストとの交流事業計画について調査したり、劇団黒テント等の関係機関が所蔵している資料を調査する等、国内調査に切り替え、実施したい。

今後の研究の推進方策

国内調査を中心に行うと共に、最終年度に当たることから研究成果を論文等で発表する準備も行いたい。
次に上げる3つの調査研究を研究の主な柱として立てている。一つ目に、研究実績でも述べたように、2020年度に開始した別役実に関する研究を本研究とも有機的に結びつけ、具体的には、佐藤と別役が手がけたテレビやラジオの放送作品について調査し、作品分析を行いたい。二つ目に、昨年より計画していた劇団黒テントの活動記録をまとめた書籍の刊行に向けて、資料整理等の作業を進めたい。三つ目に、黒テントや紅テントのような60年代末から70年代初頭に野外劇を始めた世代から影響を受けた後進の野外演劇集団に関する調査である。水族館劇場や新宿梁山泊等が近年、どのような活動を展開しているのか調査したい。

次年度使用額が生じた理由

当初、本年度に海外出張を予定していたが、新型コロナウィルス感染拡大に伴い実施できず、その分を次年度に繰り越すことになった。

  • 研究成果

    (1件)

すべて 2020

すべて 雑誌論文 (1件)

  • [雑誌論文] 別役実と寺山修司の「街」と「飛行」をめぐる二作品2020

    • 著者名/発表者名
      梅山いつき
    • 雑誌名

      ユリイカ

      巻: 52 ページ: 201,210

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公開日: 2021-12-27  

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