本研究は演出家・劇作家佐藤信を取り上げ、彼が創設に携わった数々の劇場と、アジアの近隣諸国との交流事業について調査研究するものである。当初、中国やフィリピンにおける活動について現地調査しようと計画していたが、新型コロナウィルス感染拡大により困難となった。その分、国内調査を重点的に行い、佐藤が運営している劇場の調査や、所蔵していた演劇関係資料を整理し、調査結果を単著『佐藤信と「運動」の演劇:黒テントとともに歩んだ50年』にまとめた。アジア演劇との交流を含む黒テントでの活動が後の公共劇場の運営や現在の創作活動にどのように引き継がれているかを考察した。本書はAICT国際演劇評論家賞を受賞した。
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