研究実績の概要 |
2021年度の研究成果は次の通りである。 2021年度の重要な成果は、3年間の研究成果のまとめとして、内山敏典, 釜堀文孝, 黒木宏一(2022年2月)『九州地域における伝統産業需要の計量分析―公統計・アンケート調査をベースに―』, 九州産業大学伝統みらい研究センター. 1~305頁.を公刊したことである。本書は、本課題研究の成果から12本(内山単著7本、内山・黒木共著2本、釜堀単著3本)の論文を体系的に整理した。加えて、各章の解題を序章に、伝統産業に対する提言を終章に、それぞれ収録した。内容は、公統計を用いた横断面及び時系列データ分析、アンケート調査データ分析を用いた計量分析、インバウンド需要の可能性や商品戦略など、データを通じた様々な角度から伝統工芸品産業を分析した。この研究と並行して、補完的に次の研究を行った。 黒木 宏一, 内山 敏典(2022年3月)「陶磁器価格に影響を及ぼす製品特性の統計的分析」『伝統みらい研究センター論集』第5号.(査読論文)を公刊した。この研究は、製品特性(説明変数)と価格(被説明変数)の分析をヘドニックモデルで分析し、価格に対して影響の強い製品特性の存在を明らかにした。なお、研究の過程は、黒木, 内山(2021年11月)「陶磁器の製品特性と価格:20世紀前半の売立目録の統計分析」日本計画行政学会第44回全国大会で報告した。 釜堀文孝(2022年3月)「伝統的工芸の活性化戦略についての考察(2)」『伝統みらい研究センター論集』第5号.(査読論文)を公刊した。この研究は、とくに、70歳以上の従事者(職人)が7割を超え、職人の収入の少なさを早急に対応する必要があることを明らかにした。この収入の低さが若者の参入障壁となり、高齢化に拍車をかけている。そこではIT、マーケティング及びデザインそれぞれのスキルを持った人と連携する必要があると結論付けた。
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