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2023 年度 実績報告書

アメリカ合衆国における知的障害の歴史的考察-医学の発達と市民権-

研究課題

研究課題/領域番号 19K00268
研究機関同志社大学

研究代表者

小野 直子  同志社大学, 文学部, 教授 (00303199)

研究期間 (年度) 2019-04-01 – 2024-03-31
キーワードアメリカ / 優生学 / 断種 / 精神薄弱 / 人口
研究実績の概要

2023年度は、主にアメリカ合衆国の優生学運動と人口問題の関係に焦点を当てた。優生学の科学的信憑性に対する信頼が失われていた第二次世界大戦後の1948年に、なぜアメリカ占領下の日本で優生保護法が成立したのかという問いへのひとつの解として、1930年代末以降にアメリカの優生学運動において人口問題に対する関心が高まったことを明らかにした。またその過程で、これまであまり注目されてこなかった1940年代前後のアメリカの断種政策についても検討し、第二次世界大戦後のアメリカの断種政策の継続と家族計画の世界的拡大へとつながる道筋を提示した。この時期アメリカでは、独裁国家と比較して自国の生殖管理は民主的であることが強調された。しかしその一方で、能力のない「不適者」、特に「精神薄弱者」の数を減らすこと、またその方法として断種が支持されていたことを明らかにした。
研究期間全体を通じて、アメリカにおける知的障害者の市民権に関する認識の変化を検討してきた。これまで知的障害者の歴史に関しては、19世紀末から20世紀初頭にかけての優生学運動の時代と、1960年代以降の障害者の権利運動の時代が主要な考察の対象とされてきたが、本研究では等閑視される傾向にあった1930年代から50年代を中心に考察してきた。特に知的障害者の兵役、婚姻、生殖の権利に焦点を当て、この時期に知的障害者のイメージが変容したことを明らかにした。しかしながら、生殖の権利に関しては、ナチスのような強制的な断種とは対比される「民主的な」生殖管理の名の下で、第二次世界大戦後も否定される傾向にあった。

  • 研究成果

    (4件)

すべて 2024 2023

すべて 学会発表 (4件) (うち招待講演 1件)

  • [学会発表] 戦間期プエルトリコにおける人口問題と優生学2024

    • 著者名/発表者名
      小野直子
    • 学会等名
      身体・環境史研究会
  • [学会発表] 20世紀アメリカにおける生殖管理-断種、避妊、中絶の交差-2023

    • 著者名/発表者名
      小野直子
    • 学会等名
      アメリカ学会第57回年次大会
    • 招待講演
  • [学会発表] アメリカ優生学の変容と人口問題への眼差し2023

    • 著者名/発表者名
      小野直子
    • 学会等名
      関西アメリカ史研究会第61回年次大会
  • [学会発表] 優生学と人口問題-戦間期アメリカにおける優生学の変容-2023

    • 著者名/発表者名
      小野直子
    • 学会等名
      文化史学会大会

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公開日: 2024-12-25  

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