研究課題/領域番号 |
19K00269
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研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
齋藤 芳子 名古屋大学, 高等教育研究センター, 助教 (90344077)
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研究分担者 |
戸田山 和久 名古屋大学, 情報学研究科, 教授 (90217513)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | アマチュア科学 |
研究実績の概要 |
アマチュア科学は,科学の専門職化が進んで以降の長きにわたる市民の科学参加の形態である.その特徴は,職業的科学者とアマチュア科学者である市民との間で協働と分業がなされてきたことであろう. ただし,日本ではアマチュア科学がほとんど注目されてこなかったという経緯がある.他方,海外においては,後述のとおり,先行研究がいくぶん蓄積されているものの,近年よくとりあげられる「市民科学」(Irwin 1995)ほどの注目はなく,また,職業的科学者とアマチュア科学者との「協働」という視点はかならずしも十分に検討されていない.しかし,アマチュア科学は,単純な「専門家vs.非専門家」の図式を外れており,現代における科学への市民参画についても示唆に富むと考えられるところである. 本研究では,以上の問題意識をもとに,職業的科学者とアマチュア科学者である市民との間で協働と分業がどのように行われてきたのかを解明しようとするものである. 研究期間初年度である本年度は,アマチュア科学がこれまでどのように分析されてきたのかについての文献調査,関連する営みで昨今興隆しているクラウドファンディングや市民科学の分析視点を知るための文献調査を実施し,今後の実地調査にむけた検討を行なった.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
アマチュア科学についての先行文献を収集し,アマチュア一般についての先行文献もふまえつつ,その分析視点を整理した.さらに,オープンサイエンスやクラウドファンディングなどといった,科学への市民参加に関する文献を適宜参照して,両者の協働の様相を明らかにできるような調査項目の導出を行なった.本件については,科学技術社会論学会の年次大会において一般研究発表により成果報告を行なった.アマチュア科学者と職業的科学者との協働の実態を解明するための枠組みを構想し,今後の調査の礎とすることができた. 一方,春休み期間に集中的に行う予定であったインタビュー調査については,新型コロナ感染症への学内対応があったことや感染拡大防止の観点から,次年度に持ち越しとなった.これにより,進捗はやや遅れていると判断した.
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今後の研究の推進方策 |
次年度持ち越しとなったインタビュー調査については,長い歴史をもつ昆虫生態学系のアマチュア科学と,IT技術の進展に支えられて生まれたニコニコ学会βを対象として予定している.昆虫生態学系のアマチュア科学については,文献調査およびオンラインインタビューを実施する方向で調整している.一方,ニコニコ学会βは書籍やオンライン資料が豊富にあるため,精緻な先行文献調査を中心にすえてまずは進めることとしている.
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次年度使用額が生じた理由 |
1)調査および研究発表用のノートPC購入を予算計上していたところ,年度末にアップデートがある見込みとわかり,最新モデルを購入しようとしていたが,新型コロナ感染症の国際的な拡大に伴い,入荷が年度内に間に合わなかった。本機については,次年度に購入とする。 2)本研究に関連の深い学術誌のオンライン版(過去にも遡って閲覧可能)を直接経費にて購入する計画であったが,学内での確認に手間取り,最終的に直接経費での購入ができなかった。オンライン版の論文1本ずつを購入する方式で,次年度に支出を予定する。 3)調査旅費は新型コロナ感染症の拡大にともない,執行できなかった。本件は,オンライン会議システムの使用料および一部現地調査の旅費として,次年度に使用予定とした。
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