19世紀末から20世紀前半にかけてドイツで流行したダウンジングについて、当時のダウジング研究組織の機関誌を中心に一次資料の調査を実施した。古くから行われていたダウジングが19世紀末に注目を集めたきっかけは、都市部の水不足という現実的な問題であったが、予防医学への意識の高まりや、ナチス・ドイツによる先史遺産研究などと結びつき、その目的が多様化していく。今回の研究を通じて、ある時代・地域における社会の状況を背景として、境界科学(Grenzwissenschaft / border science)がどのように支持を集め、どのように変質していくかという一事例の全貌を明らかにすることができた。
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