ガレノスとヴェサリウスの解剖学の比較から、いくつかの重要な知見が得られた。①ヴェサリウスは『ファブリカ』第1書に頭蓋骨の形状と縫合の多様性を示す図を描いたが、これはガレノスの『骨について』の誤った記述を踏襲したものである。②『ファブリカ』第4書冒頭の脳神経の図では三叉神経に相当する枝が混乱して描かれているが、ガレノスの『神経の解剖について』記述を踏襲したものである。③ヴェサリウスは『ファブリカ』第2書では14枚の筋肉人の解剖図で全身の筋を示したが、筋の記述にあたってはガレノスの『筋の解剖について』を踏襲して関節ごとに作用する筋をまとめ、固有の名前を使わずに個々の筋を番号で呼んだ。
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