研究課題/領域番号 |
19K00278
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研究機関 | 東京理科大学 |
研究代表者 |
山名 善之 東京理科大学, 理工学部建築学科, 教授 (70349843)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | 近代建築史 / 旧仏領インドシナ / 技術伝播 / 鉄筋コンクリート / 植民地 / 鉄道 / アーカイブ / Brossard and Mopin |
研究実績の概要 |
2020年度においては、2019年度に調査が完了しなかった資料に関して、フランス、ベトナムにて資料調査・目録作成を行ったうえで、文化遺産としての鉄筋コンクリート建造物の価値を技術面から補完する現地調査を行うための基礎資料を構築し、ベトナム、カンボジア、ラオスの大学、学術機関、イコモス、ドコモモなどと連携し文化遺産としての近現代建築の現地調査を国際共同研究として行う予定であった。しかしながら、新型コロナウイルスによるパンデミック状況のなか国際共同調査を行うことが困難となり、イコモス、ドコモモ等の国際学会が延期、中止となり大きく予定及び研究内容を変更せざるを得なくなった。 上記のような状況のなか、2019年度の調査において資料を収集した雲南鉄道(フランス植民地下で20世紀初頭に建設された鉄道)の建設に携わり、その後、鉄筋コンクリート技術による建設工事をフランスから旧仏領インドシナ、シンガポール、北京、上海などで行ったBrossard and Mopin社に関する資料調査を、フランス国立公文書館植民地アーカイブズ、同公文書館・産業アーカイブズ、フランス国立図書館電子図書館(Gallica)、フランス産業財産庁特許データベースのネットアーカイブズを利用し行った。これにより、Brossard and Mopin社に関する資料の所在の把握、目録の作成を行うことができた。これらの作業をとおして、Brossard and Mopin社のアジア圏における活動を把握することができ、その成果を東京理科大学において修士論文として学内発表し、検討を重ねたうえで下記論文を投稿した。
陳敏行・大須賀寛輝・長谷川香・國分元太・山名善之「Brossard Mopin社によるアジア圏への鉄筋コンクリート技術普及に関する研究(その1):資料分布の体系化と会社活動基盤の分析」(日本建築学会計画系論文集) ※投稿中
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
新型コロナウイルスの影響で年度内に予定していた海外渡航調査(フランス・ベトナム)を行うことができなかった。
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今後の研究の推進方策 |
2020年度に調査が完了しなかった資料について、新型コロナウイルスの影響により海外渡航による資料調査を行えていない部分(フランス・ベトナム調査)に関しては、状況が好転ししだい調査を行う予定である。 一方、2020年度作業を進めてきたBrossard and Mopin社については引き続き調査を行うことが可能である。新型コロナウイルスのワクチン接種状況が世界的進んでおり、Brossard and Mopin社が1918年から1926年まで本店を設置していた中国・天津地方を対象に、会社の活動に関する資料調査を行う予定である。訪問対象施設は、天津金融博物館(融資関係資料)、天津図書館(新聞・雑誌記事資料)、国家海洋博物館(事業資料)、天津市档案館(その他会社関係資料)を予定している。これによって、Brossard and Mopin社のアジア圏での主要な建設活動について詳細に把握し、鉄筋コンクリート技術が如何に展開したかを検討する。今後、状況が許せばシンガポール及びフランスの調査を行う予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
新型コロナウイルス感染拡大の影響により、予定していたフランスでの現地調査、ベトナムでの現地調査をすべてキャンセルしたため。
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