研究課題/領域番号 |
19K00283
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研究機関 | 四日市大学 |
研究代表者 |
斎藤 憲 四日市大学, 関孝和数学研究所, 研究員 (10221988)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | 円錐曲線論 / Apollonius of Perga / アポロニオス / Eutocius of Ascalon / エウトキオス / diagrams of geometry / 古代の幾何学の図版 |
研究実績の概要 |
コロナウイルスの流行のため,研究遂行において大きな変更,遅延を余儀なくされた.下に記すように,図版描画プログラムDRaFTの改良を進めることができなかった. 現行プログラムで可能な研究については,研究対象とした著作『円錐曲線論』で,とくに複数の曲線を同時に扱う命題,および図形の配置によって複数の場合が存在する命題において,それらに対応するだけの図形が描かれているかを集中的に検討した.複数の曲線,複数の場合に対応する図が存在する場合もあるが,一部が割愛されていることが多い.このような図版の選択が誰に由来するのか(著者,校訂者,書記の誰か)について検討を開始した.これは図版のみから結論が得られるわけでなく,難解な証明のテクストと図版との対応の検討を必要とする,時間を要する作業である.さらに『円錐曲線論』の現存写本(Vat. Gr. 206)の図版の描画はかなり杜撰であり,また写本の余白がマイクロフィルムでは見えないなど,研究上の困難も少なくない.図版に付されたラベル(点の名前の文字)の書体が一様ではないことも問題を複雑にしている.研究開始時に予期していなかったが,すべての図版が同じ書記によって順番に描かれているという想定自体を再検討する必要がある. このような研究上の困難に対処するため,『円錐曲線論』そのものだけでなく,別写本(Vat. Gr. 204)で伝わるエウトキオスによる注釈と,その図版についても併せて検討することとし,検討対象を広げている.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
コロナウイルス流行のため海外出張が不可能となり,予定していた図版描画プログラムの改良・仕様追加のための打ち合わせ,発注が行えなかった.
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今後の研究の推進方策 |
コロナウイルス流行の動向を注視し,海外出張が可能になれば,プログラムの仕様決定のための出張を行う.オンラインでの打ち合わせも併用し,最終年度の2021年度中に研究を終了するために最大限努力する.やむを得ない場合には研究期間を1年延長する.
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次年度使用額が生じた理由 |
コロナウイルス流行のため予定していた海外出張,および出張先での打ち合わせを前提とするプログラム発注が不可能となったため.
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