本研究の最大の成果は、芭蕉や蕉門俳人に「思想としての俳諧」が共有されており、それは「芭蕉流」という概念で捉えることができることを提示したことによって、「芭蕉流」という視点からの芭蕉研究、蕉門研究の動きが起こったことである。また、支考(特に『俳諧十論』)や蝶夢が再評価されたことも本研究の成果である。これは、本研究課題の目的である、「芭蕉・蕪村・一茶を頂点とする発句の文学的価値による俳諧史」を、「思想としての俳諧史」へと再構築し、「俳諧とは、人間にとってどのような意味と価値を持つ言語行為なのか」という俳諧の本質を解明するための大きな契機となるものである。
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