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2022 年度 実施状況報告書

遁世僧の宋刊仏書受容をめぐる説話伝承学的研究

研究課題

研究課題/領域番号 19K00299
研究機関大阪公立大学

研究代表者

小林 直樹  大阪公立大学, 大学院文学研究科, 教授 (40234835)

研究期間 (年度) 2019-04-01 – 2024-03-31
キーワード無住 / 大蔵一覧集 / 仏教類書 / 景徳伝灯録 / 沙石集
研究実績の概要

今年度は、鎌倉後期の遁世僧・無住が、南宋代に成立した仏教類書である『大蔵一覧集』をどのように利用したかについて考察を行った。この問題については、かつて拙稿「無住と南宋代成立典籍」(『文学史研究』第53号、2013年3月)でも触れたが、その際には、無住が『大蔵一覧集』を閲読していた可能性は十分にあるものの、決定的な証左には欠けるとし、『宗鏡録』や『景徳伝灯録』と『大蔵一覧集』に同話がある場合には、無住の著作の出典としては『宗鏡録』や『景徳伝灯録』を指摘せざるをえないと述べた。
しかしながら、あらためて『沙石集』の説話で『景徳伝灯録』と『大蔵一覧集』に同話を認める、巻1第8条、巻3第1条、巻4第1条の説話を仔細に検討すると、それらの説話には『景徳伝灯録』を参照してはじめて知りうる要素が存するため、『景徳伝灯録』が出典であること自体は動かないものの、各話の説話構成自体はいずれも『大蔵一覧集』に極めて近似しており、無住が『大蔵一覧集』のコンパクトな構成に倣って、『景徳伝灯録』の当該部分を切り取りながら説話構成を図った可能性が高いのではないかと考えられる。この場合、『大蔵一覧集』は『沙石集』の出典とは言いがたいが、無住を『景徳伝灯録』へと導く案内書的、索引的役割を担ったと考える余地は十分にあろうと思われる。
本研究は、『大蔵一覧集』という仏教類書の遁世僧による新たな利用法について明らかにした点に意義があると認められる。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

体調を崩したこともあり、前年度までの遅れを取り戻すに至らなかった。

今後の研究の推進方策

今年度叶わなかった、無住と禅語録との関連についての研究を進めたい。

次年度使用額が生じた理由

研究の遅れにより執行できなかった。次年度、主として関連図書購入費に充てる予定である。

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公開日: 2023-12-25  

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