本研究は、藤原定家著と考えられてきた『毎月抄』の成立時期を見極め、偽書として定位し、定家歌論の受容と変容の史的展開を明らかにすることを目的とした。2019年度は、『毎月抄』の伝本調査を順調に進めることができたが、その後はコロナ禍により、大きな制約を受けた。しかし、2020年度には、伝本調査の成果の一部を公刊し、2021年度には国際会議で「偽書」をテーマとして口頭発表を行った。2022年度には、その内容に関わる論考を2本成稿した(公刊はいずれも2023年度)。また、2022度には、『毎月抄』の周辺に広がる問題の研究をとおして、偽書の成立と展開についての考察を深めた。
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