研究実績の概要 |
1. 本山佛光寺が所蔵する板木のデジタルアーカイブを進捗させた。当年度は、板木354枚に対して、デジタル画像7,019カットのデジタルアーカイブを構築した(2023年3月)。 2. 豊住書店(奈良県奈良市、豊住伊兵衛旧蔵)所蔵板木(一部は月ヶ瀬梅の資料館に寄託)275枚に対して、デジタル画像4,028カットのデジタルアーカイブ(デジタル撮影、採寸、重量測定)を構築した(2022年12月、2023年3月)。 3. 1および2においてデジタル化した板木は、画像処理を進めた上で、ARC板木ポータルデータベースに登録し、適宜メタデータの付与を行っている。また同時に、過年度に登録した板木を含めてメタデータの拡充を行った(通年)。 4. 1および2に加え、過年度にデジタル化した板木によって摺刷された板本を収集し、デジタル化を行った上で、ARC古典籍ポータルデータベースに登録し、メタデータ付与を行った他、板木ポータルデータベースとの連携を行った。(通年) 5. 1~4を実施する過程で得た知見について、以下の成果発表を行った。(1)高野版『宿曜経』(享保21年序)について、序文第1丁の板木が2種現存する問題について、板木の形式、寸法、用いられた書体、頭注の増補状況を検討した上で従来説に反論し、現在参着できる諸本は部分再版本である可能性を指摘する口頭発表を行った(2022年4月)。(2)早稲田大学演劇博物館が所蔵する坂川屋旧蔵板木について、形式面の注目すべき点をまとめ、口頭発表を行った。同時に、坂川屋が4枚続の錦絵「浅草公園金龍山真景」を刊行した明治18年(1885)前後の、坂川屋を取り巻く状況について報告した(2022年11月)。(3)立命館大学アート・リサーチセンターが所蔵する板木コレクションを紹介しつつ、他機関が所蔵する板木との関連性に言及した論考を投稿し、掲載された(2022年12月)。
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