研究課題/領域番号 |
19K00310
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研究機関 | 近畿大学 |
研究代表者 |
藤巻 和宏 近畿大学, 文芸学部, 教授 (00468878)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 寺院資料 / 文化財保存 / 真言密教 / 戦争 / 戦時教学 / 宗教統制 |
研究実績の概要 |
前年度に引き続き、本年度も新型コロナウイルス感染症の影響で、一度も実地調査を行うことができなかった。本研究課題遂行のための主要な作業が滞っているため進捗状況は芳しくないが、当面はその他の作業を中心に進めざるを得ない。 宝珠院と他寺院との関わりや、他寺院所蔵資料から判明する情報の把握も重要であり、すでに入手している他寺院所蔵資料のマイクロフィルムをより簡便に利用・共有すべく、専門業者にデジタル化を依頼した。これは、他寺院所蔵資料の分析を進めるための準備作業と位置づけることができ、デジタル化作業は毎年少しずつ進めてゆく予定である。 一方で、寺院所蔵の近代資料全般の研究を進めるために、仏教文学会においてシンポジウム「戦時下の仏教―近代仏教研究からの視角―」を企画した。本研究課題では、近代資料のうち特に明治維新期の宗教政策と戦時下の宗教統制に関連する資料を重視しているが、この企画は後者の観点から重要である。シンポジウム自体は翌年度(2022年4月23日)であるが、本年度は構想・パネリスト選定・パネリストとの協議を中心に進めた。その結果、近代仏教研究の潮流や進展状況をある程度把握することができ、中世中心の仏教文学研究との大きな意識・方向性の相違を認識するに至った。今後は、こうした研究分野による差を徐々に埋めてゆくことで、それぞれの分野の成果を活かし、新たな展望を切り開いてゆくことができるものと期待される。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
遅れが生じた最大の理由は新型コロナウイルス感染症の拡大である。2年連続で実地調査が行えず、寺院資料調査に基づく本課題にとっては致命的である。 また、過去の書誌調査記録の点検作業も、不審点があった場合でも資料現物を確認しなければ解決できないことが多く、実地調査ができない状況下では、ほとんど進めることができない。やむなく実地調査なしでできる部分を進めてきたが、それも限界がある。研究期間を延長し、遅れを取り戻す予定である。
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今後の研究の推進方策 |
新型コロナウイルス感染症にともなう種々の規制は緩和されているものの、感染症自体は終息する見通しもない。可能であれば実地調査を再開したいが、自身だけでなく調査メンバーや寺院の合意が必要なので、慎重を期したい。 一方で、宝珠院所蔵資料そのものではなく、近代寺院資料全般という方向で本課題を遂行してゆく可能性を検討する。概要で述べたシンポジウムの成果を踏まえ、戦時下の仏教研究を寺院所蔵資料という未開の分野から支援するという方向性を模索する。
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次年度使用額が生じた理由 |
新型コロナウイルス感染症の影響で寺院の実地調査を実施できなかったため、特に旅費や人件費の支出が予定を大幅に下回った。感染症自体はいまだ終息の見込みもないが、各種の規制は緩和されつつあるので、次年度に調査を再開できるとしたら旅費・人件費の使用も増えるだろう。また、調査再開の可否によらず、近代仏教研究の動向を把握するための各種書籍の購入により、物品費の支出も予想される。
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