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2023 年度 実績報告書

戦後日本における戦時上海邦人文芸文化ネットワークの移植と展開

研究課題

研究課題/領域番号 19K00311
研究機関奈良大学

研究代表者

木田 隆文  奈良大学, 文学部, 教授 (80440882)

研究期間 (年度) 2019-04-01 – 2024-03-31
キーワード外地文学 / 植民地文学 / 上海文学 / 上海文学研究会 / 池田克己 / 日本未来派
研究実績の概要

本研究課題は、戦時下の上海および中支各都市で活動した日本人文学者・文化団体の文芸文化ネットワークが、戦後日本の文芸文化の創生と展開に与えた影響を検討するものである。
最終年度は、資料集の出版および博物館展示を中心とした研究成果公開に積極的に取り組んだ。
その具体的な成果としてはまず、『日本未来派、そして〈戦後詩〉の胎動―「古川武雄宛池田克己書簡」翻刻・注解/詩誌『花』復刻版』(2024年3月、琥珀書房)の出版が挙げられる。本書は戦時上海の日本語文壇の中心的役割を担った池田克己の書簡60通の翻刻・注解と、彼が戦後日本で刊行した『日本未来派』の前誌にあたるガリ版詩誌『花』の復刻を試みたものである。同書簡には日本未来派の成立から発展に至る過程が戦後詩壇の空気と共に詳細に記されているばかりでなく、戦時中国で活動した外地文学者の戦後の動静もうかがえる。その公刊によって、戦時中国と戦後日本の文化的連続性を検討する基礎資料の提示と、今後の当該分野のさらなる研究推進に寄与できた。
またもう一つの成果としては、展観「幻の大陸日本語文学―池田克己とその時代Ⅱ」(2024年1月22日-4月27日、於・奈良大学博物館)の開催がある。本展観は池田克己の戦前・戦中・戦後の足跡を辿りながら、戦前の中国各地で公刊された日本語文学関連資料を紹介したもので、上記の書簡や、2022年に復刻した『上海文学』の原本など、これまでの研究過程で収集した重要文献を広く公開した。また同展観の解説パンフレットでは展示図書の詳細な解題を付し、戦時中国における日本語文学の文献目録となるようにも意識した。
他にも国際シンポジウム「戦前戦中における日本文化人の大陸表象とそのつながり」(2024年3月2日、於・奈良大学)の基調講演や市民公開講座などに参加するなど、研究成果を学会および一般社会にも広く還元することができた。

  • 研究成果

    (5件)

すべて 2024 2023

すべて 雑誌論文 (1件) 学会発表 (2件) (うち国際学会 1件、 招待講演 2件) 図書 (2件)

  • [雑誌論文] 『上海文学 復刻版』と戦時中国の日本語文学2023

    • 著者名/発表者名
      木田隆文
    • 雑誌名

      昭和文学研究

      巻: 87 ページ: 202-204

  • [学会発表] 基調講演 戦時中国における日本語文芸文化の〈ひろがり〉 展観「幻の大陸日本語文学 池田克己とその時代Ⅱ」の紹介から2024

    • 著者名/発表者名
      木田隆文
    • 学会等名
      国際シンポジウム 戦前戦中における日本文化人の大陸表象とそのひろがり―絵画・書簡・新聞―
    • 国際学会 / 招待講演
  • [学会発表] 日本現代詩の先駆け 池田克己2023

    • 著者名/発表者名
      木田隆文
    • 学会等名
      池田克己没後70年記念講演会
    • 招待講演
  • [図書] 日本未来派、そして〈戦後詩〉の胎動 ―「古川武雄宛池田克己書簡」翻刻・注解/『花』復刻版2024

    • 著者名/発表者名
      木田隆文
    • 総ページ数
      378
    • 出版者
      琥珀書房
    • ISBN
      9784910993379
  • [図書] 幻の大陸日本語文学 池田克己とその時代Ⅱ2024

    • 著者名/発表者名
      木田隆文
    • 総ページ数
      13
    • 出版者
      奈良大学博物館

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公開日: 2024-12-25  

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