研究課題/領域番号 |
19K00312
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研究機関 | 就実大学 |
研究代表者 |
川崎 剛志 就実大学, 人文科学部, 教授 (70281524)
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研究分担者 |
仁木 夏実 京都府立大学, 文学部, 准教授 (40367925)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 偽史 / 修験道 / 寺社縁起 / 山岳信仰 / 役行者 / 大峯 / 金剛山 |
研究実績の概要 |
本研究の目的は、三国伝来の日本仏教の起源と歴史に準じつつ独自性を備えた修験の起源と歴史が整備されていく過程を解明することである。過去2年間同様、資料調査が困難であったため、それ以外の方法で研究を進めた。 当初の5つの研究実施計画のうち、令和2年度までに「2.『大峯縁起』ほか縁起の受容例一覧作成」「5.大峯信仰偽史の研究」については一定の成果を得たことを既に報告した。令和3年度は「3.大峯=両界曼荼羅説の発生と受容の研究」に力を入れた。その成果の一として、平安後期に大峯=両界曼荼羅説が現れた後、遅くとも鎌倉後期までに大峯における灌頂が役行者以来連綿と継承されているとの偽史が現れ、それらを踏まえて、南北朝時代、大峯の深仙灌頂が創設されたことを解明し、灌頂儀礼に関する英文の研究論集”Rituals of Initiation and Consecration in Premodern Japan”(De Gruiter、ドイツ)に発表した。しかし、残る「1.『大菩提山等縁起』の基礎研究」「4.平安時代後期の寺社縁起作文における幼学書利用の研究」については、資料調査が実施できなかったため成果をまとめるに至らなかった。 修験道資料の文献調査については、当初の予定を変更して、園城寺蔵の新出資料を調査すべく準備してきたが、それも中止せざるをえず、令和4年度に延期となった。 なお本課題の国際的展開については、国際学会での報告あるいは国際研究会議の開催を模索したが、これも断念せざるをえなかった。令和4年度の延長が認められたので、国際的な議論の国内への浸透に絞って、着実な成果を求める方向に転換した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
文献調査を基礎に研究を進める予定であったので、大幅に計画を変更せざるをえなかった。迅速に方向転換できず、研究が進捗しなかった部分もあった。また国際的学会への参加、国際研究集会の開催も断念せざるをえなかった。
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今後の研究の推進方策 |
1.研究実施計画のうち進捗状況の思わしくない「1.『大菩提山等縁起』の基礎研究」について、可能な範囲で成果を報告する。 2.実施困難な当初の文献調査計画を変更して、園城寺蔵新出資料の調査に移行する。 3.国際的な展開については、"Defining Shugendo"(2020、Bloomsbury Academic、米国)の成果を国内に浸透させることに主眼を置く。
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次年度使用額が生じた理由 |
コロナ禍のため、国内の文献調査、国際学会での報告、国際会議の開催等ができなかったため。
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