日本近世出版法制と文学規制に関する研究

2020 年度 実施状況報告書

• 研究課題/領域番号: 19K00321
• 研究機関: 岡山大学
• 研究代表者: 山本 秀樹 岡山大学, 社会文化科学研究科, 教授 (60252409)
• 研究期間 (年度): 2019-04-01 – 2023-03-31
• キーワード: 江戸時代出版法 / 日本近世史 / 日本近世出版法 / 幕府法の通達 / 馬場文耕

研究実績の概要

極めてエフォートの下がった年度であった。
大学の授業についてほぼ毎日PowerPointを執筆し、毎回の課題を評価する体制であり、大学の運営自体が常時変わりゆく新型コロナウイルスの感染状況に対して対策を検討している状態。特に大学は、新型コロナウイルス感染状況下における入試という、確定的な状況が予測できないにもかかわらず、想定される複数の可能性に関して検討し、実施体制を事前に公表しなければならないという極めて重大かつ困難な検討課題を有していた。
なおかつ、他機関の図書館は他機関所属者の利用を禁止する状況にあったので、出張による史料調査ができる状況になかった。
そのような状況下において、研究課題に関係する可能性のある史料を新たにインターネット検索でさがし、インターネット公開されていないものに関しては複写依頼をし複写物を取り寄せ、内容を検討した。検索の方針としては、昨年度の研究成果「江戸時代出版法の布達範囲 ―熊本藩史料・岡山藩史料・加賀藩史料を通して―」で明らかにした藩以外の幕府出版法の伝達状況について明らかにすることをめざした。いまだ検討成果を公表する状態まで検討が進んでいないため、史料の具体名をここで公表することはできない。史料の検索範囲も、史料が特定されることを避けるために今年度は公表をさしひかえる。
また、江戸時代に初めて書物執筆関係で死罪となった馬場文耕の処罰についても再検討を行うに足る史料を得、成果執筆を開始したが、残念ながら完成にいたらなかったため、これについても史料名の公表は避けさせていただきたい。

現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

幕府出版法の藩への不通達という課題については、前年度にほぼ結論的な成果を得ており、かつ、新たな検討史料を得た。馬場文耕の処刑に関して再検討をするに価する史料を得たのは予定外の前進である。

今後の研究の推進方策

幕府出版法の発令都市以外への不通達という課題に関して、今年度獲得した史料について研究成果を出す。
また、幕府の文芸処罰という課題に関しては、死罪となった講釈師馬場文耕の事例に関する再検討論文を完成させ公表する。
その他、研究実施計画に記した通りに進めていく心積もりである。