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2019 年度 実施状況報告書

成島信遍研究―幕臣文人の事績を通して見る近世中期江戸文壇の特徴―

研究課題

研究課題/領域番号 19K00322
研究機関広島大学

研究代表者

久保田 啓一  広島大学, 文学研究科, 教授 (80186452)

研究期間 (年度) 2019-04-01 – 2024-03-31
キーワード成島信遍 / 徳川吉宗 / 幕府書物方日記 / 田沼意次 / 田沼意行
研究実績の概要

成島信遍の伝記研究を可能な限り早く進めるために、「成島信遍年譜稿(十九)」(『広島大学大学院文学研究科論集』79巻、2019年12月、1~15ページ)、「成島信遍年譜稿(二十)」(『鯉城往来』22号、2020年1月、17~30ページ)の2本を発表した。最低でも同じ年度内に1年分以上の年譜事項を公表したいとの思いで、これまでの1年1本の方針を改めた。
延享2年(1745)4月より年末まで年譜稿の記述が進み、残るは足掛け15年の事績となる。この年は8代将軍徳川吉宗の退隠という大きな出来事があり、信遍の官歴においても節目となる年であった。「ありのすさび」や「御とのうつり」などの和文は、吉宗の西丸への隠居の記録として貴重であるとともに、本丸での近侍が終わることへの個人的感懐を流麗に描き、公私ともに価値ある内容を有するものである。また、田沼意次の意行の和歌詠草をまとめた『意行詠草』、信遍の思想を窺うに足る『芙蓉楼玉屑』所収「五常解」、農書『東方農準解』など、信遍の主要な著述がこの年に次々と形を成してゆくのも、これまでの彼の学問が漸くまとまりを見せ始めたことを示すものであり、著述の実りの多い晩年の開始を思わせる。
他に、これまで書き継いできた成島信遍関連論稿のうち、まだ電子化されていない旧稿を業者に依頼して入力してもらい、著書としてまとめる際の用意とした。まだ電子化されていない論稿もあるが、新たな修訂を施したうえで電子化を図る予定である。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由


2020年3月31日で部局長の任務を解かれるまで公務に忙殺されたこと、2月からの感染症蔓延による交通遮断により、東京・関西への調査を中止せざるを得なくなったことの2点が理由として挙げられる。幸い4月より研究時間が大幅に増えるので、感染の状況をにらみながら調査を計画したい。

今後の研究の推進方策


まずは、年譜稿とそれに付随する単行論文をあらゆる媒体に発表し、成島信遍研究を加速させることに尽きる。本研究の終了時には、本務校の定年退職まで1年を残すのみとなるので、すべての力を傾注して完成に努めたい。

次年度使用額が生じた理由

1月以降に計画していた東京・長野・関西への調査旅行が、新型コロナウイルス蔓延のため中止を余儀なくされ、旅費を中心に残余が出たのが理由である。
今後、感染症の状況が改善して出張が可能になれば、資料調査を繰り返す予定であるので、旅費と資料複写費などに支出したいと考えている。

  • 研究成果

    (2件)

すべて 2020 2019

すべて 雑誌論文 (2件)

  • [雑誌論文] 成島信遍年譜稿(二十)2020

    • 著者名/発表者名
      久保田啓一
    • 雑誌名

      鯉城往来

      巻: 22 ページ: 17-30

  • [雑誌論文] 成島信遍年譜稿(十九)2019

    • 著者名/発表者名
      久保田啓一
    • 雑誌名

      広島大学大学院文学研究科論集

      巻: 79 ページ: 1-15

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公開日: 2021-01-27  

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