中世以降におけるわが国の放鷹は、狩猟技法という本来の目的を脇に置き、むしろ儀礼として成熟してきたため、幾多の流儀(流派)が生まれ、その展開にともなって膨大な数の説話的伝書、すなわち「鷹書」が成立した。こういった鷹書の研究はこれまで主に日本文学の領域において進められてきたことから、その成果については、諸テキストに見える説話の解釈を中心とする各論的なものが大半を占めていた。本研究では、そういった成果を踏まえつつ、より総論的な視野からのテキスト群(鷹書群)の解明と位置付けを明確にし、それらを体系化してゆくことで新たな放鷹文化の実相にアプローチした。
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