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2020 年度 実施状況報告書

『寝覚物語』に関する基礎的研究の再検討と新提言

研究課題

研究課題/領域番号 19K00335
研究機関立命館大学

研究代表者

中西 健治  立命館大学, 文学部, 授業担当講師 (90227835)

研究分担者 須藤 圭  筑紫女学園大学, 文学部, 准教授 (70706613)
研究期間 (年度) 2019-04-01 – 2022-03-31
キーワード日本古典文学 / 寝覚物語 / 夜の寝覚 / 諸本 / 異文 / 享受 / 注釈 / 源氏物語
研究実績の概要

1, 新型コロナウイルス感染症の影響のため、当初、計画していた調査を予定どおりに進めていくことができなかった。そのため、本年度は、(A) 研究資料の収集・整備や、(B) 校訂本文・注釈の執筆に注力することとし、研究を進めることとした。
2, (A) 研究資料の収集・整備に関する成果として、研究代表者が所蔵する、『寝覚物語』の最重要伝本である前田家本の複製本に見られる多量の書き込みを分析することで、黒川本、また、石川徹『校注夜半の寝覚』(武蔵野書院刊)との関わりを発見し、『寝覚物語』享受史の一端を解き明かすことができた。また、『寝覚物語』を含む『源氏物語』以後に成立した物語をどのように紹介、翻訳していくか、という視点から、諸外国における『寝覚物語』享受史の分析も行った。
3, (B) 校訂本文・注釈の執筆は、前田家本を底本にしながら全3巻すべてにわたって、ひととおりの校訂本文・注釈を完成させることができた。細部を見直し、精度の高い校訂本文・注釈に仕上げていく必要はあるものの、全体を読み解くことによって見出すことのできた問題点も多い。これらの成果は、次年度以降に論文としてまとめ、公開することを予定している。
4, さらに、本年度の成果の一部をまとめた、『寝覚物語研究会会報』(創刊号)を公刊することもできた。本会報に収録できた論文は、以下のとおり。中西健治(研究代表者)「前田家本寝覚物語(複製本)の書き込み」、池田彩音「『夜の寝覚』の左衛門督の役割の変化―中の君への態度をめぐって―」、荻田みどり「『河海抄』『花鳥余情』における「食」表現」。なお、本会報は、継続して刊行していく計画である。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

本年度の研究は、新型コロナウイルス感染症の影響のため、大幅に見直さざるを得なかった。
具体的には、数度の研究会は実施したものの、当初、予定していた『寝覚物語』写本の実見調査はすべてを中止することにした。もっとも、それにかわって、次年度に予定していた研究資料の収集・整備や校訂本文・注釈の執筆を前倒しで注力することにし、その成果も挙げることはできた。しかしながら、本研究の主たる目的は、写本の実見調査によって得られた成果を『寝覚物語』研究に反映していくことにある。従って、現時点での研究は、やや遅れている、と判断せざるを得ない。

今後の研究の推進方策

引き続き、研究資料の収集・整備や校訂本文・注釈の執筆を継続して行うほか、本年度の調査では中止せざるを得なかった『寝覚物語』写本の実見調査を進めていく。特に、実践女子大学や神宮文庫などでの調査を行い、改作本や古筆切の検討も進める計画をしている。
これまでと同様、これによって得られた成果は、学術雑誌、もしくは、口頭発表をとおして公表していく計画である。『寝覚物語』を書誌学的・文献学的な視点から再検討することによって、この物語の研究にいっそうの広がりをもたらしていきたいと考えている。

次年度使用額が生じた理由

新型コロナウイルス感染症の影響により、当初計画を大幅に見直さざるを得なかったため。次年度は、本年度に予定した計画を実施するとともに、次年度計画も並行して進めていく計画である。

  • 研究成果

    (2件)

すべて 2021 2020

すべて 雑誌論文 (2件)

  • [雑誌論文] 前田家本寝覚物語(複製本)の書き込み2021

    • 著者名/発表者名
      中西健治
    • 雑誌名

      寝覚物語研究会会報

      巻: 1 ページ: 1-8

  • [雑誌論文] 『源氏物語』以後の文学をどのように翻訳するか―中古に受容された『源氏物語』―2020

    • 著者名/発表者名
      須藤圭
    • 雑誌名

      海外平安文学研究ジャーナル《中国編2019》

      巻: - ページ: 21-42

URL: 

公開日: 2021-12-27  

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