研究課題/領域番号 |
19K00343
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研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
日比 嘉高 名古屋大学, 人文学研究科, 教授 (80334019)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | 外地 / 外地書店 / 満洲 / 上海 / サンパウロ / ブエノスアイレス |
研究実績の概要 |
今年度については、新型コロナウイルス感染症の流行により、研究活動が大きく制限されざるを得なかった。予定していた調査出張は、国内国外ともにすべて取りやめ、所属大学の図書館と個人的な蔵書、すでに収集してきた資料によって研究を進めた。2020年度の研究としては、次の3つがある。(1)外地書店の引揚げについての短い論考の発表。「外地書店を追いかける(13)――本屋の引揚げ 台北、新京、京城、ジャカルタ」と題して発表した。これは、台湾からの引揚げとして東都書籍、丸善を、満洲からの引揚げとして三省堂と丸善ほかを、朝鮮およびジャカルタからの引揚げとして金城堂、研文社、丸善についてまとめたものである。(2)北米南米の書店についての英語での論文執筆。北米の書店についてのこれまでの蓄積を踏まえつつ、サンパウロとブエノスアイレスの書店について、あらたに調査した。北南米への本の輸出がどのような歴史をたどったのかをまとめ、遠藤書店と『文化』について論じ、さらにアルゼンチンにおける日本書店の歴史を概観した。最後に、本の物質性とそれが移民文化の形成にどのように振る舞ったのかを論じた。(3)中国大陸の書店についても、上海と北京を中心に資料分析を行った。情報の多い内山書店関係の資料を収集し、上海と日本人社会についての論考及び資料にも目を配った。『大陸新報』などに関しても新しい研究が蓄積されつつあり、既存の上海研究を更新することの重要性も確認した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
新型コロナウイルス感染症の拡大のため。
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今後の研究の推進方策 |
2021年度においては、(1)本の引揚げ、(2)南洋の書店、(3)戦時下における小売書店(企業整備と統制組合)、(4)中国大陸の書店について研究を進める。ハワイの書店についての研究が遅れているが、こちらも時間を捻出して取り組みたい。
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次年度使用額が生じた理由 |
新型コロナウイルス感染症の流行のために、出張を控えるなど、大幅に研究活動が制限された。今年度はできればそれを埋め合わせて調査出張を行いたいが、現時点では不透明である。調査出張が行えない場合は、資料購入に充てるなどして対応する。研究計画の延長も視野に入れる。
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