研究課題/領域番号 |
19K00349
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研究機関 | 淑徳大学 |
研究代表者 |
斉藤 鉄也 淑徳大学, 経営学部, 教授 (70317303)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | 仮名字母 / 写本 / 教師なし分類 / 書写者推定 / 尾州家河内本源氏物語 / 大島本源氏物語 / 紅梅文庫旧蔵本源氏物語 |
研究実績の概要 |
本年度は、これまでにも継続的に実施している、仮名字母の出現傾向を用いた写本の調査の一環として、(1)尾州家河内本源氏物語とその関係が指摘されている、伝為家本源氏物語、梅沢本栄花物語(巻一から巻二十)、東松本大鏡、また、(2)大島本源氏物語と大島本源氏物語に関わったとされる飛鳥井雅康による写本、(3)紅梅文庫旧蔵本源氏物語と日大本源氏物語の調査を行った。具体的には、これら写本の仮名字母の相違を考慮した本文データの入力と、その統計分析(教師なし分類手法の適用)による書写者の推定と本文の分類を試みた。これらの調査結果を、論文による報告及び学会にて発表にて公開した。
作成した本文データを用いた研究は、これまで1文字の同音の仮名字母の出現傾向を用いた調査を行ってきた。この調査は、これまでの結果から書写者の推定や同一書写者の場合の書写年代の推定に関して有効であると考えられる。これに加えて、本年度は、Ngramを用いた、(1)仮名字母の出現傾向の調査と、(2)表記の異同に基づく本文分類の調査を試みた。特に、後者の表記の異同に基づく本文分類により、本文の転写プロセスの一部を共有する可能性がある写本の(再)発見といった、より密接な関係が指摘できる写本の調査の可能性が、本研究の視野に入ってきた。表記に着目した本文分類は、本文の異同と比較し研究報告が少ないことから、今後何らかの発見ができる可能性を示している、と言える。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
出版またはインターネット上で公開されている源氏物語写本を対象に、本文データ入力とその分析を順調に実施できた。今後も継続的に実施できる見通しが立ったことと、これらの調査によって得られた知見に基づき、今後の研究の可能性が拓けてきたことから、当初の計画通りの進捗状況にあると言える。
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今後の研究の推進方策 |
計画通り、出版またはインターネット上で公開されている源氏物語写本と、それらと書誌学や文献学の点から関連が指摘されている写本を対象に、今後も本文を調査し、統計分析を継続していく予定である。また、当初の計画に加え、Ngramを用いた表記の異同に基づく本文分類の調査も加えることにした。
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次年度使用額が生じた理由 |
次年度使用額は、出版されている源氏物語写本を中心とした書籍の購入が遅れていることが理由である。既に購入する書籍は決定しているので、購入可能になりし次第、次年度において購入する予定である。
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