研究課題
基盤研究(C)
本研究は1945年から1949年にかけて、上海における国民政府の対日宣伝活動及びそれを管轄する関連機関、中国文化人の対日姿勢、引揚げを待つ邦人の動向と文芸活動の実態調査と究明を試みるものである。研究成果としては、①改造日報社、中央宣伝部対日文化工作委員会及び亜東協会の活動に関する論文の発表、②基礎資料の整備、③本研究の総合的完成として研究書『戦後上海における対日宣伝機関とその刊行物 解題・細目』(ゆまに書房刊)の出版(2022年2月初版、2023年1月再版)。
日本近代文学、日中関係
戦後上海に複数の国民政府系対日宣伝機関が設置されていた。資料の逸散が甚だしいこともあって、それらの機関の活動は謎に包まれて、解明されていない課題が多い。それらの課題の解明によって、国民政府の対日政策の策定とその意図、日本及び中国の情勢、戦後の米中関係・日米関係の変遷、中国知識人の対日感情、邦人居留民の文化・文芸活動などが自ずから浮かび上がってくる。終戦直後の日中関係史、日中文化人交渉史の研究において不可欠な作業である。