研究課題
基盤研究(C)
本研究は、中国二十世紀前半期における美術概念の受容と普及の推移を踏まえ、同時期に活動した主要な中国人画家たちの作画に関する論評を、伝統の継承と創造の観点から文学的に明らかにした。その内容は主として2021年に発表した論文「屈曲する美術 1929年第一回全国美術展覧会前後の美術評論について」にまとめた。この論文で示した論点に基づき、二十世紀前半期中国の水墨画家と油彩画家が呈示した継承と創作に関する言説を、正当に評価できるようになった。
中国文学
美術という語が日本国内で創出された後、二十世紀前半期に中国で普及していった推移を、初めて明らかにできた。また、社会に普及していく美術概念を、同時代の中国人画家がいかに受け止めたかを、彼らの論説を通じて具体的に解明した。二十世紀前半期中国の水墨画家や油彩画家は、現代日本では必ずしも馴染みがないが、彼らの知的営みの一端を、現代日本社会に分かりやすく紹介することができるようになったところにも、本研究の意義がある。