研究課題/領域番号 |
19K00368
|
研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
藤井 誠子 (佐野誠子) 名古屋大学, 人文学研究科, 准教授 (80359827)
|
研究分担者 |
齋藤 智寛 東北大学, 文学研究科, 教授 (10400201)
福田 素子 聖学院大学, 人文学部, 非常勤講師 (80837287)
北條 勝貴 上智大学, 文学部, 教授 (90439331)
|
研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2023-03-31
|
キーワード | 仏教志怪 / 感通 / 霊験 / 僧伝 / 法苑珠林 / 続高僧伝 / 討債鬼故事 |
研究実績の概要 |
本年度はコロナ禍により使い切れなかった科研費を用いて、小さな研究シンポジウムを1回、また、代表者と分担者と全員が集まっての研究集会を1回開催した。 シンポジウムは2022年7月16日東アジア恠異学会のオンライン研究会にて、「中国における仏教怪異故事の流通」と題し、代表者佐野は、『金剛般若経集験記』の竇徳玄記事のバリエーションについての分析、分担者福田は、ある討債鬼故事が志怪や筆記のみならず、善書に多く記載されていることについての分析を行い、外部コメンテーターとして、奈良大学の道教研究者、山田明広氏を招いた。 9月には、上智大学にて対面で、研究集会を開き、それぞれが研究成果を披露し、討論をした。代表者は、『法苑珠林』の、出処がしるされていない、編者道世が独自にしるした記事について、そのほとんどは道宣編『集神州感通録』と重複しており、道宣が、見聞して記録したことについて、道宣の主観的な記載を省いている事実について報告した。 以下齋藤は、仏典の教理と中国固有の霊験譚との間にある、仏教側の矛盾の解決の論理を明らかにし、福田は、校勘を行っている『仏頂心陀羅尼経』についての中間報告を行い、北條は、僧伝に描かれる先達を読み手がどのように受け取り、実践に生かしたのかについての検討を行った。 実際の研究計画に比べ、初唐の文献を中心に検討するのみで終わってしまったが、道宣・道世が西明寺で行った各書の編纂作業を中心に、西明寺における集団的意図が働いている種々のテキストの問題を明らかにし、霊験や感通の意味について、仏教教義と中国固有の概念の関係について知見を深めることができた。
|