従来、『三国志演義』の版本は清代になって毛宗崗本が出現したことにより、それ以外の版本は全て淘汰され、毛宗崗本のみが流行することになったと考えられてきた。しかしながら毛宗崗本が成立した康熙五年以降にも『三国英雄志伝』と題する簡本系版本が多数出版されている。さらに最近中国国内で次々と『三国志演義』版本の新資料が発見されており、これらはその大多数が『三国英雄志伝』と題する版本である。 これら『三国英雄志伝』を網羅的に取り上げ研究することによって、『三国志演義』版本に関する従来の説を改めることとなった。また、新発見資料を仔細に検討することによって、新発見資料の持つ重要性を社会に知らせることが毛きた。
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