研究課題
本年度も2019年作成の「朝鮮渡り唐本所在目録」を用い閲覧調査を行った。京都大学人文科学研究所では清乾隆刻本の『王右丞集箋註』を調査した。この本は李朝後期の著名な学者の金正喜の旧蔵本で「秋史/正喜」の朱文方印があり、金翰済の印記も有するものであった。同志社大学人文科学研究所所蔵の明万暦二十二年重刻(清康熙・雍正逓修)の南監本『宋書』を調査。これには李朝中期の学者尹汲の「海平世家/尹汲景孺/號近菴印」朱文大方印があった。慶應大学附属研究所斯道文庫に赴き、古城貞吉旧蔵の「坦堂文庫」本を閲覧した。憲宗三年(一八三七)の庭試文科に合格し、大提学等を歴任、数学・天文学にも通じた南秉哲の旧蔵本である明末刻本『唐元次山文集』のほか、李朝末期の武臣・政治家の李載先旧藏本の明末刻本『東坡先生詩集』など五点を調査した。また斯道文庫所蔵の明刻後修本『山堂肆考』を閲覧。この本は朝鮮整版の『通鑑綱目』の残葉を用い改装されていた。佐藤道生慶應大學名誉教授が所蔵する明末刻本『唐文粋』も調査できた。3月14日、立命館大学第3354回土曜講座「和漢の書香」で、芳村弘道が朝鮮渡り唐本の明成化刻本『事物紀原』などの立命館大学所蔵漢籍を紹介した。3月25日、立命館大学衣笠キャンパスにて研究成果報告会を開催(Zoom Online併用)し、富嘉吟「鄭嵎『雙金』について」・キン春雨「日本人の漢詩存稿二種について」・魯耀翰「李朝初期唐本輸入概括―集部を中心に」・住吉朋彦「古城坦堂旧蔵の朝鮮渡り唐本について」・萩原正樹「『清平山堂話本』「快嘴李翠蓮記」に見える撒帳詩について」・芳村弘道「立命館大学所蔵の漢籍貴重本」の発表が行われ、南京大学の金程宇教授なども参加して意見交換を行った。3月末発行の『立命館白川静記念東洋文字文化研究所紀要』第15号に芳村が「朝鮮渡り唐本の研究について」を発表した。
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白川静記念東洋文字文化研究所紀要
巻: 第15号 ページ: 11ー33
立命館白川靜記念東洋文字文化研究所紀要
巻: 第15号 ページ: 51-63
斯道文庫論集
巻: 第56輯 ページ: 133-349
敦煌写本研究年報
巻: 第16号 ページ: 113-126
人文科学研究
巻: 第18巻 ページ: 1-14
學林
巻: 第72号 ページ: 103ー117
宋代文学学会報
巻: 第8集 ページ: 131ー160
立命館アジア・日本研究学術年報
巻: 第2号 ページ: 35-40