研究課題/領域番号 |
19K00382
|
研究機関 | 立命館大学 |
研究代表者 |
三須 祐介 立命館大学, 文学部, 准教授 (60339653)
|
研究分担者 |
松浦 恒雄 大阪市立大学, 大学院文学研究科, 教授 (20173792)
藤野 真子 関西学院大学, 商学部, 教授 (20332653)
田村 容子 金城学院大学, 文学部, 教授 (10434359)
|
研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
|
キーワード | 中国演劇 / 上演記録 / 京劇 / 地方劇 / 京劇 / 民間 |
研究実績の概要 |
まずメディアとしての演劇資料研究としては、立命館大学アートリサーチセンターを拠点とした戯単(中国演劇パンフレット)のデジタル・アーカイブ化、及びメタデータの入力は一定程度進捗した。とくに1940年代以降の上海及び周辺地域の伝統劇(滬劇や越劇)がメインだが、戦後台湾における京劇の戯単も一部含まれている。メタデータの入力に関わり、現在は日本近世演劇データベースとの繋がりを重視したものになっているが、より中国演劇の実態に即したものに改善する余地は残っている。さらに辻聴花関連国内所蔵資料の収集やPDF化も進んだ。この他、民国期上海の京劇や地方劇に関わる上演資料や劇評の収集も行った。 民間劇団研究については、民国期と建国後に関する国内外の研究成果を踏まえ、現在20世紀における状況の整理を行っている。民国期については斉如山の『戯班』を中心とした北京を対象にした研究や、建国後の民間劇団研究(大野陽介氏)がある。これらをつなぐための文献資料調査の他、現地調査を予定していたが事実上不可能となった。そこで民国期の北京以外の都市(成都)の状況についての研究書を取り上げた読書会を開催した(王笛著『茶館』、読書会実施2019年10月及び12月)。四川の大衆文化を取り上げたこの研究は、民間劇団研究にとって重要な参照系になりうる。 また、九州大学濱文庫の戯単プロジェクトにおけるシンポジウム(九州大学、2019年8月)参加や戯単解説執筆作業にも関わり、成果をあげている。同シンポジウムでは松浦、藤野による研究報告、田村も参加した展示会解説(中里見敬、中塚亮、波多野真矢、鈴木直子、田村容子、森平崇文、大野陽介「展示会『中国の芝居番付〈戯単〉 : 戦前の日本人学者が見た中国の名優と名舞台』」九州大学言語文化研究院『戯単、劇場与二十世紀上半葉的東亜演劇学術研討会論文集』2019年8月)がある。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
民間劇団の調査のために、中国現地でのフィールドワークを予定していたが、新型コロナウィルス感染拡大の影響で実施できなかった。また、同様に研究会の開催にも一定程度影響を与えている。
|
今後の研究の推進方策 |
新型コロナウィルスの感染拡大の状況を見ながら、可能な限り現地調査を進めていきたい。一方、文献調査で代替できる部分は、主に戯単のデジタルアーカイブ化などを引き続き推進していく。また、傅謹氏の民間劇団調査の研究書の翻訳も完成させたい。
|
次年度使用額が生じた理由 |
新型コロナウィルス感染拡大の影響で、中国などにおける現地調査のための旅費や物品購入費などに予算を充てることができなかったため。次年度の使用計画としては、できる限りオンラインを使った資料購入を進めるとともに、オンライン会議にも活用できるPCなどの購入、また資料のデジタルアーカイブ化に関わる費用などを予定している。
|