文化研究(カルチュラル・スタディーズ)の勃興期は、従来的に、イギリス的な経験という観点から記述されることが多かった。現在の支配的なカルチュラル・スタディーズ(文化研究)の実践においては、文化的な変化を政治的な観点から解釈、分析、記述することが多くなっているとしたら、ウェールズ的な経験という観点を導入してみると、「変化」の内実だけではなく、「変化の長さ」それ自体が、カルチュラル・スタディーズの源流とされる書き手たちの(少なくとも)一部によって問題化されてきたのではないか、という本課題の問題提起は大きな意味を持ちうる。
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