本研究は、先行研究で構築済みのウェブ・アーカイブA|S|I|A(Asian Shakespeare Intercultural Archive)に新たな「マルチメディア・エディション」を追加 し、上演映像、写真、テキスト、注釈、作品解説や論文、上演データ等を有機的に関連付けながら上演を理解する「マルチメディア」な上演研究・教育の可能性を追究するものである。エディションのコンテンツは各上演作品の全編映像、作品解説、演技様式や文化的背景等に関する詳細な注釈、テーマの観点から書かれた論文、作品に関する基本情報データである。 オンラインによる研究や教育が必須となるコロナ禍の状況を経て、本研究は「マルチメディア・エディション」の構築作業を進めるとともに、ウェブ・アーカイブA|S|I|Aを活用した上演研究・教育の実践をシンガポール、韓国、イギリス、アメリカの研究者達との共同プロジェクトとして推進してきた。 本年度は、各作品の注釈と序論作成作業を進めたほか、2022年7月に英国で開催されたInternational Shakespeare Conferenceのパネル・ディスカッション「Archiving Shakespeare in the Age of the Pandemic」において成果報告を実施、2023年3月には昨年度に引き続き英国バーミンガム大学シェイクスピア研究所におけるオンラインコース「Shakespeare in Asia」に講師として参加し試作中の「マルチメディア・エディション」を用いた授業を実施、さらに、英国ハダーズフィールド大学主催のGlobal Shakespeare SeminarにおいてA|S|I|A及び「マルチメディア・エディション」を用いて日本のシェイクスピア上演に関する講演を行なった。
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