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2023 年度 実績報告書

検閲に抗して:トマス・ハーディ『日陰者ジュード』の創作過程の解明

研究課題

研究課題/領域番号 19K00391
研究機関名古屋大学

研究代表者

上原 早苗  名古屋大学, 人文学研究科, 教授 (00256025)

研究期間 (年度) 2019-04-01 – 2024-03-31
キーワードイギリス小説 / トマス・ハーディ / 検閲研究 / 生成論
研究実績の概要

トマス・ハーディの研究者の間には、ハーディがJude the Obscure (初出1894-95、初版1895)執筆時に掲載誌『ハーパーズ・ニュー・マンスリー・マガジン』編集者ヘンリー・アールデンの検閲を受けて、性的な挿話・表現の多くを削除・修正せざるをえなかったとの言説が広く流布している。本研究は、この小説の執筆過程を検証することにより、従来の説には解消されえない、出版社への抵抗とも言うべきハーディの改変作業に光を当てることを目指すものである。
研究期間全体の成果としては、
1)Jude the Obscure の原稿の収蔵館フィッツウイリアム博物館からマイクロフィルムを入手し、原稿約400葉を解読した。
2)原稿執筆には黒インク、青インク、黒鉛筆、青鉛筆が使用されているが、経年劣化によるインクの褪色が進んでいるため、マイクロフィルムでは黒インクと黒鉛筆の区別や、黒インクと青鉛筆の違いなどが判別しにくいという難がある。筆記具の違いがハーディの執筆段階の確定には重要な手がかりとなるため、イギリスで目視調査を実施することで執筆段階を確定した。
3)原稿解読の成果に加えて、大英図書館で閲読した検閲関係の資料(道徳推進団体の活動記録、報道記事、国会議事録、インタヴュー記事など)も使用しながら、Jude the Obscure論「『日陰者ジュード』:決別の書」、「検閲を再考する」、「清らかなイギリス」、「グランディズムと小説」を執筆することができた(これらは、著書(単著)の一部として来年度刊行する予定である)。また出版社の側から見た検閲に関しては、Hardy and His Publishersと題して国際研究集会Global Hardyにて発表することができた。

  • 研究成果

    (1件)

すべて 2023

すべて 学会発表 (1件) (うち国際学会 1件)

  • [学会発表] Hardy and His Publishers2023

    • 著者名/発表者名
      Sanae Uehara
    • 学会等名
      Global Hardy
    • 国際学会

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公開日: 2024-12-25  

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