従来の検閲研究では、「検閲」を出版社対作家、検閲者対被検閲者という二元論的図式で語る傾向にあるが、本研究では、そうした図式には解消されえない編集者と作家の「奇妙な」関係を浮き彫りにすることができた。また、従来のハーディ研究では、伝統的な書誌学に従い校訂版を編纂してきたが、本研究では、校訂版では可視化されにくい、本文改変の軌跡を触知しうる生成批評版を編纂することができた。なお、研究成果は研究代表者の単著(2025年10月刊行予定)によって社会に広く発信する。(注:生成批評版とは、バルトやクリステヴァなどのテクスト論を直接の淵源とする生成論的アプローチを導入したエディションのことである)
|