研究課題/領域番号 |
19K00395
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
高橋 勤 九州大学, 言語文化研究院, 教授 (10216731)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | ヘンリー・ソロー / アイルランド移民 / ネイティヴィズム(排外思想) / サミュエル・モース / テレグラフ / ノー・ナッシング党 / マサチューセッツ州 / 陰謀論 |
研究実績の概要 |
令和元 (2019)年度の研究計画は、サミュレル・P・モースによる Imminent Dangers (1835)、Foreign Conspiracy (1835)を分析し、その反カトリック主義の要点を整理するとともに、1840年代以降に顕在化するネイティヴィズム思想、さらにはノー・ナッシング党の形成と躍進について考察することであった。 モースの著述の分析を進めるとともに、Richard Hofstadter, The Paranoid Style in American Politics (1965) および巽孝之『パラノイドの帝国― アメリカ文学精神史講義』(2018)を参考書目としてアメリカの極右思想における陰謀論について考察した。また2019年9にはハーヴァード大学ワイドナー図書館において1週間の研修を行い、課題に関する研究図書を30冊程度購入した。 研究成果としては『ホームランドの政治学――アメリカ文学における帰属と越境』(開文社、2019年)(共著)を刊行し、日本英文学会第91回大会において「モールス信号の政治学――ソローと19世紀ネイティヴィズム思想」という研究発表(招待発表)を行った。また関連する成果としては “Thoreau’s Transcultural Poetics”という英語論文を執筆し J19 Journal of Nineteenth Century American Literature に依頼投稿し、さらに巽孝之『パラノイドの帝国― アメリカ文学精神史講義』の書評を執筆した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
19世紀中葉のアメリカ社会におけるネイティヴィズム思想に関して『ホームランドの政治学――アメリカ文学における帰属と越境』(開文社)を共著という形で刊行し、そのテーマを発展させた研究発表「モールス信号の政治学――ソローと19世紀ネイティヴィズム思想」を日本英文学会第91回大会において発表できたことは、本課題の研究を大きく推進させたと確信している。また関連する成果としては “Thoreau’s Transcultural Poetics”という英語論文を執筆し J19 Journal of Nineteenth Century American Literature に依頼投稿し、さらに巽孝之『パラノイドの帝国― アメリカ文学精神史講義』の書評を執筆した。
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今後の研究の推進方策 |
令和2 (2019)年度の研究計画は、アメリカン・ルネサンス文学におけるアイリッシュ表象の分析を進めたい。ソローの『ウォールデン』や日記に見られるアイルランド人表象、『コッド岬』に描かれた移民船セント・ジョン号の座礁事件、さらにはメルヴィル『レッドバーン』に描かれたアイ ルランド移民等、アメリカン・ルネサンス文学に描かれたアイリッシュ表象を分析する。 実質的な研究方法としては、備品として新たな図書の購入が必須となるほか、貴重な資料が集中する東京の諸機関で資料収集が必要となる。さらに、成果発表、資料収集を含めて、東京での研修を行うほか、夏期には10日程度アメリカ合衆国の大学等の研究機関において研修および資料収集を行う予定である。 (1)備品として、海洋ナラティヴ関係図書、アメリカ史関係図書を購入する。 (2)国内の資料収集は、九州大学図書館、西南学院大学図書館のほか、国立国会図書館、東京大学附属図書館等で行う予定である。 (3)海外での資料収集に関しては、ハーヴァード大学図書館、およびカリフォルニア大学デイヴィス校の図書館等で行う。
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