研究課題/領域番号 |
19K00398
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研究機関 | 学習院大学 |
研究代表者 |
荒木 純子 学習院大学, 文学部, 教授 (20396831)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | 新世界 / イングランド領植民地 / アメリカ化 / 舞踊 / 感染症 |
研究実績の概要 |
本研究の目的は、イングランドから新大陸に渡ってきた植民地の人たち、イングランド人を自認しているはずの人たちが、植民地においていかにアメリカ性を獲得し、アメリカ化していったのかを、信仰という一面から検討することである。そのため、17世紀の天体および新大陸という2つの「新世界」にかかわる当時のイングランドおよび植民地の人々の言説および表象を分析し比較対照させることにより、植民地独自の要素、すなわち「アメリカ化」された文化的産物が構築されていく歴史的過程を分析する。 本研究2年目の2020年度はピューリタンのプリマス上陸400年を覚え、1年目のおわりに行ったイングランドのプリマスにおける調査に引き続き、マサチューセッツのプリマスでの行事に時期を合わせた調査、可能であればプリマスに渡る前の生活の地ライデンでの調査を行うという希望を持っていた。しかしCOVID-19パンデミックがおさまる気配はなく、断念せざるを得なかった。本来1年目に行う予定であった月にかかわる科学と技術にかんするヨーロッパにおける現地調査も不可能となった。 その一方で、思わぬ方向に研究が発展することにもなった。感染症を素材としたエドガー・アラン・ポーの短編小説がきっかけである。その中世的な舞台に垣間見られる舞踊の要素を分析することにより、ゴシック小説の中の「アメリカ化」された一面から、19世紀半ばの「新世界」観にかんする考察を行った。その成果を論文として発表することができた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
2020年度はCOVID-19パンデミックの影響が非常に大きく、海外での調査が行えなくなったことと新しい研究及び生活スタイルに立て直す必要があったこととが大きい。
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今後の研究の推進方策 |
引き続き、当初の研究対象であった月世界にかかわる科学技術にかんする知とその受容に目を配り、同時に、新しい方向へ向かうことになったきっかけである感染症というキーワードも大切にしながら研究を進めていく。感染症の蔓延は人の物理的な交流の証であるので、「新世界」のイングランド領植民地における人の交流と知の伝播という面を意識し、文化のアメリカ化の状況を追求していく。
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次年度使用額が生じた理由 |
予定していた2回の海外調査が実行不可能になったため、未使用額が大幅に生じた。 海外調査が可能な状況になり次第、積極的に調査の機会をうかがいつつ、必要な資料の購入及び、国内外の研究者を招いての研究会を行う予定である。
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備考 |
初期アメリカ学会第82回例会(2020年8月28日)大野美砂「ナサニエル・ホーソーンが書いた子どものためのアメリカ史――『おじいさんの椅子の全歴史』におけるジェンダーと人種の問題を中心に――」において、司会を務めた。
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