研究実績の概要 |
19世紀アメリカにおける健康改革、とりわけ服装改革と水治療との相互関係、健康に関する言説とジェンダーとの関係について考察するための資料収集にあたった。そのためにアメリカ合衆国に出張し、American Antiquarian Society(Worcester, MA), Syracuse UniversityのBird Library(Syracuse, NY), New York Public Library(New York, NY)を訪問し、一次資料を収集した。 収集した資料については帰国後ただちに読解に入り、また服装改革と水治療の関係についてその両方の分野に携わったMary Gove Nicholsの自伝小説Mary Lyndon (1855)からも考察した。 その結果、19世紀半ばのアメリカにおいてAmelia Bloomerに代表される服装改革の思想は、ニコルズの水治療および結婚制度改革(marriage reform)についての思想、女子教育の中でCatharine Beecherの徒手体操(Calisthenics)やオナイダ・コミュニティ(Oneida Community)が実践したコミュニティ運動など多岐にわたる分野で共有されていたことを検証した。またこれらの相互関連性は社会における女性の地位の問題と密接につながる、女性の健康というジェンダーの問題としてとらえられることを指摘した。 その成果の一部を所属研究機関主催の公開講演会でのシンポジウム「「動く」女性-日英米の女子教育と服装改革の歴史」で発表、さらにその内容に加筆・修正を施し、論文「19世紀アメリカの服装改革-健康増進と女性解放」として所属する学科が発行する論文誌『実践英文学』に発表した。
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