本研究は、アメリカ作家ハリエット・ビーチャー・ストーの『アンクル・トムの小屋』(1852)を中心とする反奴隷制文学が、19世紀中葉のルネサンス期に隆盛を迎え、一つの文学ジャンルを形成したこと、またそれはアンテベラム期のみの一時的現象ではなく、古くは18世紀に萌芽があり、ルネサンス期を経て、さらには、ポストベラム期以降のアメリカ文学に脈々と受け継がれていったことを系統的に検証することで、その流れを明らかにした。またその過程で、反奴隷制文学とその他の文学ジャンルとの間テクスト性や相互影響を明示することで、より大きな文学史のなかに位置づけることができた。
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