グレン・A・アルブレヒトの提唱するソラスタルジアという概念を援用しながら、アメリカにおける環境ドキュメンタリーと文学作品の比較分析を行った。そして、各映像作品から抽出された環境意識のあり方を、トマス・ピンチョンの文学作品における環境表象・動物表象に重ね合わせ、独自の環境表象論を展開した。その成果は、ピンチョンの第一長編V.から最新作Bleeding Edgeにいたる仕事を、リオタールのポストモダン寓話との比較によって論じたThomas Pynchon's Animal Tales: Fables for Ecocriticism(Lexington)という著作に結実する予定である。
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