研究課題/領域番号 |
19K00406
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研究機関 | 龍谷大学 |
研究代表者 |
池末 陽子 龍谷大学, 文学部, 准教授 (10792905)
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研究分担者 |
渡辺 克昭 大阪大学, 言語文化研究科(言語社会専攻、日本語・日本文化専攻), 教授 (10182908)
後藤 篤 京都府立大学, 文学部, 准教授 (70761980)
千代田 夏夫 鹿児島大学, 法文教育学域教育学系, 准教授 (80631887)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | ホテル / 身体 / 移動 / 家族 |
研究実績の概要 |
2021年度は2020年度同様予定していた海外調査全員分および招聘講座企画は中止となった。 池末は、昨年度延期となった日本ポー学会第12回大会シンポジウムにおいて、“Behind the Gothic Mask of the Red Death”のタイトルで、ゴシック的空間と身体性をテーマとした研究発表をオンラインにておこなった。また2018年度および2020年度におこなった研究発表の一部が『龍谷大学論集』498号と499号に掲載される予定となっている。千代田は論文「クィア・ハーレム・ゴシック―ウォレス・サーマンとネラ・ラーセンにおける性」(『ハーレム・ルネサンスー〈ニュー・ニグロ〉の文化社会批評』明石書店、2021年)を発表し、また九州アメリカ文学会第66回大会シンポジウムにて「ウォートンの〈荒地〉―リアリズムとモダニズムをつなぐ〈女性の不毛/不能〉」の研究発表をおこなった。後藤は、2020年度の研究成果の一部を研究ノート「情事のエスノグラフィーー『ロリータ』におけるモーテルのクロノトポス」(『Krug』新版第14号)として発表し、『ロリータ』をめぐるアダプテーション論を映画版と舞台版の比較を通じて拡充すべく、日本アメリカ演劇学会第10回大会シンポジウムにて「映画化しきれない残余―Edward AlbeeのLolitaにおける翻案のポリティクス」と題するオンライン研究発表をおこなった。渡邉は、これまでの研究成果の一端として、「錯乱のコズモポリスー『マーティン・ドレスラー』におけるポストヒューマン的身体としてのホテル」(『脱領域・脱構築・脱半球-21世紀人文学のために』小鳥遊書房、2021年)を発表した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
昨年度に引き続き、コロナ禍のため全員国内外の出張を自粛したため、資料収集や海外研究者との意見交換および国内研究者招聘企画等を全て中止し、文献研究中心とせざるをえなかった。また再度始まったオンライン授業/ハイブリッド授業への対応などのため、昨年同様研究が全体としてやや遅れている。研究自体は完全に文献研究中心とせざるを得なかったが、2018年度日本英文学会シンポジウムと2020年度の日本アメリカ文学会関西支部シンポジウムの成果を踏まえて企画した共著出版企画(2022年度末刊行予定)は順調に進んでいる。
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今後の研究の推進方策 |
本研究は順調であれば2021年度が最終年度であったが、コロナウィルス感染拡大のため資料収集や調査および学会活動のための海外出張が中止となり、国内学会も多くが中止や延期となったため、成果発表の場が限られたものとなった。2022年度は共同研究の中間発表としておこなった2020年度のシンポジウムの成果および問題点の回収を元に意見交換し、各自担当分をまとめて、既に進みつつある共著の出版を目指す。 池末は、日本ホーソーン協会のワークショップおよびエコクリティシズム研究会シンポジウムにて研究成果の一部を発表し、共著の一部として論文化する。これまでどおり主に19世紀から20世紀初頭の亡霊ホテル譚についてレガシーと幻想性の臨界点を探る。千代田は白人男性モダニズムにおける「ホテル」とハーレム・ルネサンスとの相関関係考察に加えて、女性作家イーディス・ウォートンの眺めたホテルの態様についての論考をまとめる。後藤は、ウラジーミル・ナボコフを中心に、移動をテーマとした50年代の小説・映画に見られるモーテル文化の表象について更なる考察を加える。渡邉は、現代アメリカ文学におけるホテル的空間と新たな文化史の構築についての考察を深化させ、共著のためウィル・ワイルズについての新たな論文の執筆を計画している。
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次年度使用額が生じた理由 |
コロナ禍の影響で、2020年度に引き続き2021年度に予定していた、池末、後藤、渡邉の国内外海外調査は中止となり、海外出張および国内出張費が使用できなかった。加えて千代田の外部研究者招聘による連続講義も延期となっている。そのため、2020年度同様、図書費やオンライン勉強会に関わる諸費用などの支出は予定より増額となり、池末および千代田の出張予定費用の一部は繰り越しとなった。コロナ禍収束の状況に留意しながら、可能であれば調査旅行は2022年度におこない、千代田の連続講義企画も2022年度後半に延期の予定である。
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