研究課題/領域番号 |
19K00406
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研究機関 | 龍谷大学 |
研究代表者 |
池末 陽子 龍谷大学, 文学部, 准教授 (10792905)
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研究分担者 |
渡辺 克昭 大阪大学, 大学院人文学研究科(外国学専攻、日本学専攻), 教授 (10182908)
後藤 篤 京都府立大学, 文学部, 准教授 (70761980)
千代田 夏夫 鹿児島大学, 法文教育学域教育学系, 准教授 (80631887)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | ホテル / 移動 / 身体 / モダニティ / 家族 / 没場所性 |
研究実績の概要 |
最終年度となった本年度の研究成果の一端は、以下のとおりである。 池末は、論文「Hotel Nightmares ─アメリカ文学におけるホテル的空間の文化史(1)」『龍谷大學論集』第498号、2022)を発表した。ホテル的空間の文化装置としての歴史的位置づけを確認し、アメリカ文学において繰り返し描出されてきたその亡霊性と没場所性の源流を辿った。千代田は、日本比較文学会第84回全国大会会ワークショップI(2022年6月4日、オンライン)でおこなった発表に加筆修正した論文「エドマンド・ウィルソンにおける〈民族〉― F・スコット・フィッツジェラルドのアイルランド性をめぐって」(鹿児島大学教育学部研究紀要、2023)を発表した。F・スコット・フィッツジェラルドの「知的良心」にして死後も作家の遺稿発表に尽力した評論家・作家エドマンド・ウィルソンの〈民族〉意識の検証を通して、モダニズム作家たちのコスモポリタニズムのありようを探り、当該時期の〈ホテル〉的空間および言説への考察の一助としたものである。後藤は前年度研究ノートとして発表した「情事のエスノグラフィー―『ロリータ』におけるモーテルのクロノトポス」を元に共著刊行のためのアーカイヴ資料の精査に取り組んだ。渡邉は「躍動する無限「ホテル」の闇の奥―『ウェイ・イン』におけるアクターネットワークの生成と変化」『英米研究』第47号(大阪大学英米学会、2023)を発表した。本論文では、際限なく増殖し続けるメガホテル・チェインを舞台として展開するウィル・ワイルズの『ウェイ・イン』(2014)において、没個性的なホテル空間が、いかに逆説的に人間とモノとがハイブリッドに影響を及ぼし合う迷宮として描出されているかを分析した。
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