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2022 年度 実績報告書

第一次大戦期の思想潮流から見る20世紀初頭のイギリスの児童文学、舞台芸術

研究課題

研究課題/領域番号 19K00407
研究機関甲南大学

研究代表者

岩井 学  甲南大学, 文学部, 教授 (70369859)

研究期間 (年度) 2019-04-01 – 2023-03-31
キーワードヴァイオレット・パーン / アルジャーノン・ブラックウッド / エドワード・エルガー / 第一次大戦 / D・H・ロレンス / 『スターライト・エクスプレス』 / 『妖精の国の囚われ人』
研究実績の概要

ヴァイオレット・パーン脚本、エドワード・エルガー作曲の音楽劇『スターライト・エクスプレス』およびその原作アルジャーノン・ブラックウッド『妖精の国の囚われ人』を比較しながら、両作品には第一次大戦時におけるナショナリズムや愛国心を喚起させるような装置があるのか、またそのような時代潮流と齟齬をきたすような言説が組みまこまれているのか分析した。その結果、原作の小説の方は当時広く見られた田園讃美の心地よいイデオロギーを受け入れているように見えながら、それを解体していくようなテクストであり、また音楽劇の方は一見すると現実世界とは無縁の夢物語であるにもかかわらず、第一次大戦時におけるイギリスの置かれた状況がそこに図らずも刻印されていることが分かった。『スターライト・エクスプレス』は一見現実世界とは遊離したファンタジーであるが、その舞台となったブルセル村を戦時下における銃後のメタファと取り、そこに平和がもたらされる物語として読み解くことができる。この音楽劇には戦争への様々なアリュージョンがちりばめれており、戦時下の社会状況が滲み出ているのである。
また『スターライト・エクスプレス』の翌年に執筆されたD・H・ロレンスの戯曲『危機一髪』における階級表象に着目し、分析した。そこでは炭坑夫たちが二律背反的に描かれている。彼らは19世紀末から20世紀初頭における労働者階級のステレオタイプとして描かれると同時に、ギリシャ悲劇における「コーラス」に似た役割も担っていることが解明された。

  • 研究成果

    (2件)

すべて 2023 2022

すべて 雑誌論文 (1件) (うちオープンアクセス 1件) 学会発表 (1件) (うち国際学会 1件)

  • [雑誌論文] 夜空を見上げ、飛行船ではなく星を見る--アルジャーノン・ブラックウッド『妖精の国の囚われ人』からパーン=ブラックウッド=エルガー『スターライト・エクスプレス』へ--2023

    • 著者名/発表者名
      岩井学
    • 雑誌名

      甲南大學紀要.文学編

      巻: 173 ページ: 41-51

    • DOI

      10.14990/00004437

    • オープンアクセス
  • [学会発表] From Touch and Go to Lady Chatterley’s Lover: Class Representations and the Bourgeois Myth2022

    • 著者名/発表者名
      Gaku IWAI
    • 学会等名
      The 15th International D. H. Lawrence Conference
    • 国際学会

URL: 

公開日: 2023-12-25  

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