研究課題/領域番号 |
19K00411
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研究機関 | 北海道教育大学 |
研究代表者 |
十枝内 康隆 北海道教育大学, 教育学部, 教授 (80359489)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | ヴィクトリア朝 / ファッション / ダンディズム / ウォルター・ペイター / マックス・ビアボウム |
研究実績の概要 |
本課題研究の2年目となる2020年度については,これまでの研究を継続してウォルター・ペイターやオスカー・ワイルド,またマックス・ビアボウムのテクスト分析を行った。また,後期ヴィクトリア朝イギリスにおけるジェンダー,ファッション,ダンディズムに関する2時資料についても引き続き検討を行った。また,これらの資料のうち主要なものについては,研究の便宜を図るべく徐々に電子化の準備を行っている。
野末紀之氏(大阪市立大学教授)を研究代表者とする科研グループ(「19世紀後半~20世紀初頭の英文学における階級横断的な男性性の再定義の研究」)との共同研究会を2020年9月と2021年3月の2度実施し,主要な2次資料を中心に現在までの関連資料をめぐる状況や研究の動向について検討を行い,また,マックス・ビアボウムの "Dandies and Dandies" と "1880" に関する研究発表を行った。これらの研究発表においては,ビアボウムのダンディズム概念と,先行する時代あるいは同時代のイギリス,フランスにおけるダンディズム概念や表象との差異について考察し,ビアボウムによるダンディズム概念の特殊性とその要因について指摘した。これらの発表については,野末氏ならびに研究会メンバーである藤井佳子氏(奈良女子大学兼任講師),高橋章夫氏(大阪市立大学兼任講師)から重要なフィードバックを得ることができた。また,同研究会への参加により,19世紀後半から20世紀にかけてのジェンダーをめぐる概念形成や変容について貴重な示唆を得ることができた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
新型コロナウイルスの感染拡大によって,これまでと異なる授業や事務作業の形態が求められるようになったため,その対応に追われることとなるとともに,公務が極めて多忙となった。また,学会発表を予定していた学会の開催延期などもあり,発表を控えざるを得なかった。さらには,国内外の図書館等における調査も実施不可能となった。他の科研グループとの共同研究会については,Zoomを活用するなどして継続して行うことができたものの,そのなかで本研究の先進性に伴う課題が明らかとなったため,論文執筆に遅延が生じている。
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今後の研究の推進方策 |
所属学会における口頭発表を行うとともに,遅延している論文執筆についても継続し,学会誌,大学紀要を問わず積極的な発表を行う。他の研究会との合同研究会の継続的な実施を図りつつ,関連分野の研究者を招聘しての研究会開催についても検討する。
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次年度使用額が生じた理由 |
(理由)新型コロナウイルスの感染拡大に伴い,予定していた国内外の図書館等における資料調査を断念せざるを得なかった。また,参加予定であった学会の中止・延期やオンライン以降により出張旅費の使用が少なかったほか,人的交流を差し控えざるを得なかったため,謝金等の使用がなかった。
(使用計画)新型コロナウイルスの感染拡大についてはいまだ見通しが立たない状況ではあるが,可能な範囲において資料調査や人的交流を図りたい。
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