研究課題/領域番号 |
19K00417
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
霜鳥 慶邦 大阪大学, 人文学研究科(言語文化学専攻), 准教授 (10400582)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 第一次世界大戦 / 英語圏文学 / イギリス / 記憶 |
研究実績の概要 |
2021年度は、イギリス、カナダ、オーストラリア、インド、中国、ベルギーといった広いエリアを射程におさめながら、第一次世界大戦、人種的他者、戦争の記憶、現代世界情勢に関する資料・文献の収集・整理・考察と文学テクストの分析を中心に進めた。本研究課題の重要な一部となる現地調査が、新型コロナウイルスのために実施できず、研究の進め方について大幅に再考・修正する必要があったが、可能な範囲で、資料・文献・文学テクストのための作業に注力した。 研究成果の一部を、日本英文学会第93回全国大会(2021年5月22日、オンライン)でのシンポジアム「第二次世界大戦と英語圏文学」で発表した。担当発表の題目は「'I change, but I cannot die.':Ali Smith四季四部作における「ナチスの時代」/「Trumpの時代」の変身譚」。このシンポジアムは、第二次世界大戦をテーマとするものであるため、本研究課題のテーマと完全に一致するものではないが、本研究課題で取り組んできた、戦争の記憶と人種的他者の問題、さらに現代世界情勢に関する研究の成果を大いに生かすことができた。また、本研究課題のテーマを、さらに多方向に拡大するための多くのヒントを得ることができた。 この発表内容の一部を大幅に再構成して、Ali Smith文学を考察対象に、戦争、人種的他者、パンデミック、環境問題といったテーマを扱う論文を執筆した。この論文は、2022年か2023年に出版予定の論集に掲載される予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
第一次世界大戦と人種的他者に関する資料と文献の収集・整理・考察は可能な範囲で行ったが、本研究課題の重要な一部となる現地調査が、新型コロナウイルスのために実施できず、研究を当初の計画どおりに進めることができなかった。また、本研究課題に集中して取り組むための時間を確保できなかったことも、遅れの要因となっている。
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今後の研究の推進方策 |
引き続き第一次世界大戦の記憶における周縁的存在に注目して研究を進めていく予定である。現地調査が可能であれば、ぜひ実施して、研究計画の遅れを少しでも回復したい。最終年度にあたるため、これまで収集・整理・考察してきた資料・文献と、文学テクストの分析をもとに、成果を論文にまとめたい。
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次年度使用額が生じた理由 |
新型コロナウイルスの影響により、現地調査を実施することができなかったため、残額が生じた。これについては、次年度に現地調査が可能な場合は、その費用の一部として活用したい。それが難しい場合は、文献とパソコンの購入のために有効に活用したい。
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