研究課題
令和4年度は昨年に引き続き医学論文や脳科学者によって書かれた書籍の精読をおこなった。アドバイスをいただいているミネソタ大学の脳科学者と大体月に2回のペースでZOOMを通してミーティングを行い、読んだテキストの不明な点などを質問し、知識を深めていった。特に有益であったのが、Lisa Feldman Barrettのemotionについての研究について幾つかの論文を読めたことであった。Joseph LeDouxのemotionの研究と相反する部分と一致する部分とあり、興味深かった。また、BarrettやLeDouxを含めた数人の脳科学者が"Fear"をどう定義するか議論したレポートが読めたことも今後の研究を深めていくために役に立つと思う。昨年の研究実績の概要でも触れたが、perpetrator traumaにフォーカスし、アジア系アメリカ人作家Jessica Hagedornの作品を分析した論文が_Women Writing Trauma in Literature_というアンソロジーの中一章として2022年10月に出版された。perpetrator traumaはguiltやshameというemotionにも関連しているので、その部分をこれからまた丁寧に考察していきたいと思っている。また、2023年1月のModern Language Associationでは原爆の脳への影響を研究した日系アメリカ人医師James Yamazakiの原爆症研究についてのlife writingについて発表した。トラウマと脳についてまた違った視点を投じてくれるので、彼の研究についてもより深く考察したいと考えている。
3: やや遅れている
昨年に引き続き、コロナ対応などで大学の業務の責任が重かったこと、また家庭でも対応すべきことがあったため研究の進行はやや遅れている。
今年度は研究のまとめの年となるので、医学論文や人文系のトラウマについての論文分野書籍の精読を続けるとともに、今までMLAで発表してきた論文を発展させて出版したい。
コロナ禍,負担の重い学内業務,家庭の事情などが重なり出張に出られなかったため,次年度使用額が生じた。2023年度まで研究を延長したので,英語論文校閲,謝金,論文に使用する脳のイラスト代などに使う予定。
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