研究課題/領域番号 |
19K00421
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研究機関 | 琉球大学 |
研究代表者 |
加瀬 保子 琉球大学, 国際地域創造学部, 准教授 (70724722)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | 論文精読 / 論文執筆準備 |
研究実績の概要 |
今年度も昨年度に引き続きUniversity of Minnesota, Twin Citiesの脳科学者のサポートを受けながら医学論文や書籍の精読を行なっていった。Lisa Feldman Barretなどの研究とともに、Antonia Damasioのトラディッショナルな情動研究についても確認し、脳科学分野の感情や情動研究の論文を読むことに努めた。また、人文系のAffect Theoriesとの関連を考察するために人文系の研究者の情動研究書籍を精読していった。 人文系の情動研究については、Ruth Leysの_The Ascent of Affect: Genealogy and Critique_におけるPaul EkmanやSilvan Tomkinsに対する批判はBarretの彼らのdiscrete emotion theory批判とも違っていて興味深かった。Leysは、EkmanやTomkinsがanti-intentionalistであり、affectとは対象物のない肉体的な反応であると主張し、affectとcognitionは別のものであるという解釈をしていると述べている。またLeysのこのような解釈についてのDonovan O. Schaeferの批判(例えばTomkinsはcognitionとfeelingをダイナミックにリンクしたものを解釈している、とSchaeferは主張している)も読んだことで、人文系情動研究のgenealogyをたどりながら、様々な理論を学ぶことができた。 ここからは人文系のトラウマ研究における情動の扱われ方と情動研究の理論的な交差を調査してみる必要があると考えている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
大学の業務負担が重かったこと、またもう一件の科研研究を獲得したので、そちらにも時間を割く必要があったため、研究進度が遅れた。
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今後の研究の推進方策 |
2024年末まで研究期間を延長したので、2024度が最終年度となる。これまで精読してきた論文や書籍を参考に1990年台から今までの人文系のトラウマ研究と脳科学の分野がどのように関わるのか論文を執筆し、研究のまとめとしたいと考えている。
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次年度使用額が生じた理由 |
論文の英文校閲費の予算を残しておいたが、研究の進行が遅く、論文が仕上がらなかったために予算が余った。2024年度に論文を仕上げる予定でいるので、英文校閲費として使用する。
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