文化的ネットワークを構築する媒体として、『エンカウンター』が『クライテリオン』の編集方針に倣ったという事実は、翻って、大戦間期に形成されたエリオットの文化的戦略がいかに野心的であり、かつ有効だったかを物語るものである。コロナ禍のために、当初計画をしていた英国図書館等での資料調査を実施することが難しかったが、大戦間期に軸足を置く本研究の問題意識は、第二次世界大戦後にまで射程をのばすことのできるテーマであることを明らかにした。そして本研究の根幹となるプリントカルチャーと文化形成をベースとし、よりスケールの大きな研究成果を得ることができたと考えている。
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