研究課題/領域番号 |
19K00424
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研究機関 | 神戸市外国語大学 |
研究代表者 |
難波江 仁美 神戸市外国語大学, 外国語学部, 教授 (30244677)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | Henry James / ヘンリー・ジェイムズ / 翻訳 / Translation / American Literature / Modernism / 19世紀 |
研究実績の概要 |
本研究は、日本におけるジェイムズ研究の意義を問い直し、それを国際的な研究の中に位置づけることを目指す。21世紀に入り日本人研究者のおかれた環境は変化しはじめ、国際学会での発表や交流が増え、ポストコロニアル批評と相まって翻訳論に注目が集まり、海外の研究者による日本のジェイムズ翻訳への関心も高まってきた。国際的な共同研究へと一歩を進める機が今や熟してきたといえる。 ジェイムズ研究の新しい時代にふさわしい研究環境をつくり、海外の研究者との交流による研究成果、すなわち<新・国際挿話>を生み出すための共同研究、国際学会における交流を奨励する企画を打ち出していくことが本研究の重要な目的である。 2019年度における大きな成果は、国際ヘンリー・ジェイムズ学会(Henry James Society)とのつながりが深まったことである。研究代表者は、米国アメリカ文学会(ボストン)におけるヘンリー・ジェイムズ協会によるパネル、および第8回国際ヘンリー・ジェイムズ学会(トリエステ)で発表し、海外の研究者との交流を深めた。その結果、8月31日から9月1日に開催された日本の第9回ヘンリー・ジェイムズ研究会に、Henry James Societyのメンバーであり、学会誌_The Henry James Review_(HJR)の編集主幹であるGreg Zacharias氏(米国Creighton U教授)を招待することができた。同時に研究会(読書会)として運営してきた同研究会を学会として発足するための委員会が立ち上がり、2020年度に学会化を実現すべく現在活動している。また_HJR_の出版元であるJohns Hopkins UPから、_HJR_のホームページにリンクする日本の研究成果を紹介するサイトを設ける提案もだされ、準備をすすめている。最終目標である2022年度の国際ヘンリー・ジェイムズ学会開催へと大きな一歩を踏み出した年であった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
本研究の目的は、ジェイムズ研究の新しい時代にふさわしい研究環境をつくり、海外の研究者との交流による研究成果、すなわち<新・国際挿話>を生み出すための共同研究、国際学会における交流を奨励する企画を打ち出していくことである。 2019年度における大きな成果は、研究代表者の国際学会での発表、および、研究代表者の国際ヘンリー・ジェイムズ学会(Henry James Society)役員就任、そしてそれに伴う国際ジェイムズ学会とのつながりが明確となったことである。 研究代表者は、アメリカにおけるアメリカ文学会のヘンリー・ジェイムズのパネル、および第8回国際ヘンリー・ジェイムズ学会(トリエステ)で発表し、海外の研究者との交流を行った。後者の発表は、論文として2020年度の_The Henry James Review_に掲載されることが決まっている。また2020年1月に開催されたMLA学会におけるHenry James Societyの総会に出席し、理事らとの交流を行った。 2019年8月31日から9月1日に開催された第9回ヘンリー・ジェイムズ研究会では、Henry James Societyのメンバーであり、学会誌_The Henry James Review_(HJR)の編集主幹であるGreg Zacharias氏を招待することができた。その結果、研究会(読書会)として運営してきた同好会を学会として発足するための委員会も立ち上がり、2020年度の学会化を目指して現在活動している。また_HJR_の出版元であるJohns Hopkins UPから、_HJR_のホームページにリンクして日本の研究成果を紹介するサイトを設ける提案があり、準備をすることになった。最終目標である2022年度の国際ヘンリー・ジェイムズ学会の開催へむけ、当初の計画以上の大きな一歩を踏み出すことができた。
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今後の研究の推進方策 |
2020年度は、残念ながらCovid-19感染拡大の影響で、学会活動が制約されている。4月に研究代表者が参加を予定していたC19学会(米国フロリダ:ジェイムズ研究者と共同シンポの予定であった)は秋に延期となった等、物理的移動が難しい状態となっているが、ネット環境はグローバルに整備されていることから、国内外の研究者との交流をなんとか続け、研究をすすめたい。以下、予定を記す。 (1)日本における翻訳実績の比較研究(継続)。ジェイムズ後期作品(旅行記・自伝・書簡)の特徴検討。米国ヘンリー・ジェイムズ研究所(Creighton U.)資料調査。ハーバード大学ホートン公文書館での資料収集。国会図書館等資料収集および打ち合わせ(東京)。(2)C-19国際学会でのジェイムズ兄妹パネルに出席 (3)ジェイムズ兄妹をめぐる言説研究(プラグマティズム研究会(神戸市外国語大学プロジェクト研究会継続;代表者は本研究代表者)。関連研究会の主催。(4)第10回ヘンリー・ジェイムズ研究会(Covid-19感染拡大のため中止となったが、それにかわるウェッブ等での交流会を予定)。(5)ヘンリー・ジェイムズ研究会10周年記念英語論文集企画、執筆。 2020年度、2021年度は、翻訳研究および作品研究を継続し、国内外の研究者との交流の絆を保ち、 2022年度の国際学会誘致への準備をすすめる。
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次年度使用額が生じた理由 |
2020年3月末から予定していた学会出張(米国、C19学会)がキャンセル(秋に延期予定)となったため。予定していた出張費は次年度(2020年度)まわしとした。
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