研究課題
基盤研究(C)
本研究の成果については、トマス・ハーディやウィルキー・コリンズ、そしてニューマン作家であるモナ・ケアードなど19世紀の作家による詩および小説テクストの中の、いわゆる「男性中心の物語」の構造に注目することで、その中で、実際にはテクストの中に存在する女性の願望の声によるプロットが男性が語ろうとする物語の権威を崩し、結果的に物語の主人公である男性のアイデンティティを揺るがしていることを明らかにした。
英文学
本研究成果の学術的意義および社会的意義は、これまで男性主人公の物語を描いているとされてきたテクストの中に存在する「女性の願望」を示す声を中心にしてテクストを読み直すことで、これまで見えてこなかったテクスト構造およびジェンダーの力関係の逆転を読み取ることができることにある。本研究では、全体を通して、センセーション小説の特徴の一つとしての女性の願望によって操作される男性主人公の物語と転覆という構図を明らかにすることができた。