本研究の成果の学術的・社会的意義は以下の3つである。①ミードの女子大生小説において女子の高等教育の意義が専門職への道を切り拓くことばかりでなく、教養教育と社交(ネットワーク構築)にも見出されていたことを新たに証明できた。②新設の女子教育機関が、長きにわたりイギリスの紳士教育を担ってきたパブリック・スクールやオックスブリッジをモデルにしつつ、女子学生たちの状況に応じて独自の方針を織り交ぜて調整を行っていたことを詳らかにできた。③実践女子大学の学祖・下田歌子が欧米の女子教育視察から得た知見を記した『泰西婦女風俗』を分析することにより、19世紀末の日英の女子教育の影響関係を解明できた。
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