研究課題/領域番号 |
19K00427
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研究機関 | 専修大学 |
研究代表者 |
末廣 幹 専修大学, 文学部, 教授 (70264570)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 王政復古期 / 演劇 / コメディ・オヴ・マナーズ / 都市空間 / 劇場 / 社交空間 |
研究実績の概要 |
本研究の目的は、王政復古以降のコメディ・オヴ・マナーズの発展と都市空間の変貌の相関関係に注目することで、社会史・文化史的アプローチによって演劇テクストが都市空間の機能そのものを変容させたことを解明することにあるが、2021年度までに行った王政復古期の研究については、論文「ウィリアム・ウィッチャリーの『田舎女房』における作法に対する戦略のアンビヴァレンス」としてまとめ、2022年6月に刊行予定の論文集『コメディ・オヴ・マナーズの系譜―― 王政復古期喜劇から現代イギリス文学まで ――』に所収されることが決定している。劇作家ウィッチャーリーについては、すでに2008年に「 “in the dark… there is no envy or scandal”――ウィリアム・ウィッチャーリーの『迷える恋、あるいはセント・ジェイムズ・パーク』における空間表象――」という論文を発表していたが、本邦では研究がほとんどなされておらず、王政復古期演劇と都市空間の表象との関係を考察する上で重要な意義があると考える。 さらに、2020年度から2021年度までは、18世紀におけるコメディ・オヴ・マナーズの発展とロンドンの都市空間の変容を考察するために、その対極にある18世紀後半のゴシック演劇における空間表象を研究したが、その研究成果は、論文「“Theatric genius lay dormant after Shakespeare…”――ホレス・ウォルポールの『謎を抱えた母』に見られるシェイクスピア崇拝のアンビヴァレンス」(『専修人文論集』第109号収録)としてまとめた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
今年度は、王政復古期から18世紀にかけての最新の資料を渉猟することができた。しかし、新型コロナ・ウィルスの感染拡大のために、国外における調査旅行がまったく行えず、当初国外で予定していた調査が進んでいない。大学におけるオンライン授業も継続したために、その準備に予想以上に多くのに時間が奪われ、予定していた18世紀におけるコメディ・オヴ・マナーズの研究を学術論文としてまとめられていない。したがって、当初の計画よりも遅れている。
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今後の研究の推進方策 |
2022年度は、王政復古期から18世紀に焦点を当てて行った研究の成果に基づいて、王政復古期のコメディ・オヴ・マナーズに関する研究を論文としてまとめる予定である。さらには、18世紀の研究成果をコメディ・オヴ・マナーズの研究を成果を、日本英文学会の全国大会など国内外の学会で発表し、論文としてまとめる予定である。コロナ禍のために行えていなかった国外の調査旅行も再開する予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
新型コロナ・ウィルスの感染拡大のために、国外の調査旅行がまったく行えず、当初予定していた調査旅費が執行できなかったためである。 コロナ禍が収束しつつあるので、次年度は、調査旅行を行い、旅費として使用したい。
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